人間は「油断してしまう弱い生き物」

――非常にいいご経験をされたんですね。

びーやま:そうですね。そのときに思ったのが人間って弱い生き物なんだなってことです。これは生物的にという意味では当然なくて、気持ち的にということです。

 僕も受験生だったときは、「大学に入ったらあれしよう、これしよう」みたいな感じで、すごく前向きだったんです。しかも人より1年多く受験勉強していたわけですから、かなりその思いは強いという自負もありました。

 なんですが、いざ大学合格してみると、そういった気持ちを忘れてしまって、「もう勉強はつらいしいいかな」「早稲田だし就職もどうにかなるでしょ」みたいな感じで油断してしまいました。

 自分では強い意志を持って入学したはずなのに、こうなってしまうんですから、人間の意志には限界があるんだなとこのときの経験から学びました。

 だからこそ、そんな僕に刺激をくれた早稲田には感謝していますし、「どういう環境に身を置くか」というのは重要なんだなと思います。まわりが「頑張ることが当たり前」みたいな雰囲気だったら、自分も頑張らなきゃって自然と思えます。

 少し話は逸れますが、高校でも進学校とかはこの雰囲気づくりが上手いというか、「みんな頑張っているから自分も頑張ろう」って自然と思えるんじゃないかなと思います。

――たしかに、進学校にそういった側面があるのは非常にわかります。加えて今のお話は受験生に限らず大人にも言えそうなことのように感じました。

びーやま:言われてみればそうかもしれませんね。大人になっても油断してしまう瞬間はたくさんありますし、就職活動でも「大手から内定出た! 俺は勝ち組だ!」と勘違いしてしまう人は多いように思います。

 ですが、大学合格も就職内定も結局は全部スタートラインなんですよね。それまでが大変であるがゆえについ忘れてしまいますが、「名門大学に入っただけ」「大手企業に入社しただけ」では、たくさんいるうちの1人でしかありません。

 そのことに早く気がつかないと、どんどんまわりに追い抜かれて、あとになって「エリート街道を歩いていたはずなのに!」となってしまう気がします。

 その意味では、10代後半から20代前半という人生においてすごくいい時期に「努力を続けること」の大切さをあらためて教えてくれるのが大学なのかもしれません。少なくとも僕は早稲田のおかげでそのことを知ることができました。