ステップワゴンe:HEV AIRJR最南端駅の指宿枕崎線西大山駅にて。窓の開口部が前後方向に長く取られているのは眺望向上に大いに寄与した Photo by K.I.

居住感・ユーティリティは?
眺望が良く、座席の使い勝手もいい!

 細部について深掘りしていこう。ミニバンの生命線である室内空間設計については、華美さや上質感は持ち合わせていないものの、人、モノの収まりの良さでは上々の出来だった。

 大いに好感が持てたのは、1列目から3列目に向けてシートの高さを少しずつ上げていくシアターレイアウトをしっかり作り込んでいたこと。ファミリー向けミニバンのシートは背もたれ倒したりフルフラットにしたりと、豊富なアレンジメント機能を持たせる必要があるため、シアターレイアウトは後回しにされがちだ。実現は、内装設計者の執念と言える。

 また、側面の窓ガラスが前ドア、スライドドア、リアクォーターガラスまで前後方向の寸法を大きく確保するように設計されている。外観上は窓が特別広いように見えないが、ピラーの太さや固定ガラスの接着面が詰められているので、有効開口面積はかなりある。

 この2点の恩恵で車内、とりわけ2、3列目からの眺望が良いことはステップワゴンの利点だ。開発担当者は視界のデザインを工夫することで「車酔いを防止したい」と説明していたが、眺望の向上にも貢献している。

 一方でシートアレンジは、シアターレイアウトの犠牲にはなっていない。2列目の左右独立型キャプテンシートは、前後左右にスライド可能で、両席をくっ付けて後方にスライドすると広大な足元空間が出現する。さながらビッグ「N-BOX」である。

 3列目シートは床下にワンタッチ収納ができ、完全フラットになる。跳ね上げ収納式シートの競合車種に比べて荷室の有効容積、使い勝手とも大幅に優れる。

 ただし7人乗りモデルは2列目に2人しか座れないため、5人乗る場合は3列目の片側のみしか折り畳めない。5人乗りと大量の荷物なら、2列目に3人乗れる8人乗りモデルがベストだろう。

ステップワゴンe:HEV AIR2列目シート2列目シート。シートスライドの自在性は非常に高かった Photo by K.I.
ステップワゴンe:HEV AIR2列目シート2列目の左右シートを寄せて最後端までスライドさせるとシアタールーム的な使い方もできる Photo by K.I.
ステップワゴンe:HEV AIR3列目シート荷室3列目シートをダイブダウンさせると広々とした荷室になる。貨物の積載力はクラス随一 Photo by K.I.
ステップワゴンe:HEV AIRフロアの高さフロアの高さは実測41cmと結構高い。二段階ステップがないので高齢者を乗せる時はオプションの可動ステップを装備するのが無難 Photo by K.I.