新しい環境や人間関係の変化が重なり、心も体も疲れが出やすい5月。なんとなく気分が沈んだり、「自分だけがうまくいっていない気がする」と感じたりしていませんか? そんなときは、どんな感情もいったん受け入れ、自分を認めることが大切です。今回は、『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)から、外からの評価に頼らず自分で自分を癒やす「自己承認リセット」の方法を一部抜粋、再編集してご紹介。ストレスや不安を和らげ、気持ちが少し楽になるヒントをお届けします。

あなたが「自分自身の味方」になろう
自分が周りから認められていない感じがして、外部からのサポートがあったらいいのにと思うときはないだろうか?
自虐的な発言をしたり、うまくいったことを過小評価したり、何か達成してもすぐに次を心配し始めたりするなら、ここで紹介する「自己承認のリセット」を試してほしい。
この自己承認のテクニックで、たとえ周りに理解してもらえなくても安心できる瞬間をつくれる。
「この状況であればストレスに感じて当たり前」と思うことが、ストレス軽減の第一歩
まずは、自分の考え、感情、行動、そして置かれている状況に注意を払おう。
次に、自分が感じていることの正当な部分を認める。
「私は誠実なので、要求ばかりしてくる人の下で働くのはつらい。このストレスは当然であって、私が何もうまくできないとか、おかしいというわけではない」などだ。
うまくいったときに、「私は一生懸命やった」と思うか、「運がよかっただけ」で大きなちがいが生まれる
別の例を挙げると、何かうまくいったときに、「私は一生懸命やった」と思うのか「ただ運が良かっただけ」と思うのかでちがいが生まれる。
自分を認めなかったり、当然湧く感情を口うるさく批判していたりすることに気づいたら、この自己承認リセットをやるようにしよう。
人は「自分の感情」を軽視してしまいやすい
他人に軽視されたときにはすぐ気づくが、自分自身の経験を無意識に軽視していても気づかないものだ。
いったん立ち止まって自分に理解を示すだけで(「こうなるとは予想していなかったわけだから、当然こう考えてしまう。なぜなら……」)、直面している問題が何であれ痛みが和らぐはずだ。
半年の間に恋人との別れ、友人を自死を経験したクライアントはどう立ち直ったのか
あるクライアントは「この先もっと気分が暗くなるのでは」と心配していた。
彼はこの6ヵ月で恋人と別れ、友人を自死で亡くし、転職して引っ越し、当然のことながら気分をコントロールできずに苦しんでいた。
人間関係を大切にする人だったのに、人生の大部分が不安定になったからだ。
しかし、その感情を当然だと気づくことができた。
感じることを自分に許すことで、ストレスと気分の落ち込みを脱したのだ。
人間らしい感情を持つことを誇りに思い、自分を思いやることもできた。
優秀なセラピストがそばにいたら、あなたにどんな言葉をかけるか?
自分を慰める心の声をどうやって出せばよいかわからなければ、親しい友人や優秀なセラピストがそばにいたら耳元で何とささやいてくれるかを想像してみよう。
「自分を認めることは自分を甘やかすことにつながるのでは」と懸念する人もいるが、そうではない。
自己承認は自分への思いやりを高め、成長しやすくしてくれるのだ。
もしポジティブな経験をしたときは、「どうせ間もなく振り子が反対側に振れて調子が悪くなる」と予測するより、「自分が何を達成したか」を認めよう。
達成したことを満喫するほうが、ずっとモチベーションは高まるのだ。
※『瞬間ストレスリセット』では、科学的に短時間でストレスを解消できる方法を多数紹介。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。