山口 さらに海上自衛隊の航空基地が長崎県大村と鹿児島県鹿屋にあります。その他にも米軍と自衛隊が有事の際に使用可能な民間空港が、九州と沖縄に多数あります。
小泉 中国ならこの辺りの基地は必ず攻撃したいと思うでしょう。平時に日本ができることは、琉球弧の中にあるさまざまな民間飛行場も使えるようにすることです。すでに訓練は始まっています。鹿児島沖にある馬毛島は無人島ですが、防衛省が買い取り、島ごと要塞化しています。飛行場や地下弾薬庫も作っています。
日本は大量のミサイル攻撃に
どう抗戦すればいいのか
小泉 新しい防衛力整備計画大綱では、空中給油機の数を大きく増やすことになっています。これにより、日本の中の遠くの基地から飛行機が出てこられるようになります。もし、沖縄の基地が損傷したら、米軍は一時的にグアム辺りまで下がる。米軍はグアムからオーストラリアにまで逃げることも想定しているようですね。
もう1つ、日本は中距離ミサイルを保有しようとしています。その第一は島嶼防衛用高速滑空弾と呼ばれているもので、その名の通り、日本の島嶼部に上陸してきた敵を叩くものですね。もう1つはもっと遅いトマホークなんかの巡航ミサイルですが、これは動けないけれども戦力発揮に必要な敵の後方施設、具体的には飛行場や港湾や指揮通信結節を叩くものだと思われます。後者はいわゆる能動防御(アクティブ・ディフェンス)ですね。攻撃的な能力を持つことで敵の攻勢能力を鈍らせるという発想です。

山口 中国のミサイルの一部を空中で撃ち落とすこともできますが、ミサイルの数を考えれば防ぎ切れません。特に最新のミサイルだと、既存のミサイル防衛網を突破される可能性があります。
小泉 中国は米国向けミサイルに核弾頭を搭載しています。中距離ミサイルの何割か、グアム向けのDF-26については、半分ぐらいが核弾頭搭載でしょう。嘉手納を狙っているDF-16の何割かにも核弾頭を積んでいます。
しかし、米国の核抑止が効いているとすれば、中国は最初から核ミサイルを撃ってくることはないでしょう。するとまず、通常弾頭を搭載したミサイルが何百発か日本に降ってくることになります。だから最初の一撃を耐え抜き、陸空海で戦う能力を保持することを考えなければなりません。