「結婚十訓」で包囲されるヒロイン→戦時下の“二十歳の風圧”に震える【あんぱん第36回レビュー】

朝ドラに欠かせない
愛国婦人会

 メイコ(原菜乃華)がのぶには心に決めた人がいると思っていたと言う。たぶんメイコが嵩(北村匠海)だと思っているが、のぶには自覚がない。結婚する気はまだないと主張するが、あと1年して豪(細田佳央太)が兵役を終えて帰ってきたら、蘭子(河合優実)が結婚するから、のぶもこの家にいづらくなるであろうし、結婚はまだまだとも言っていられなさそうだ。

 蘭子は帳面に数字を書いて、毎日ばってんを書いて、豪の帰る日を指折り数えて待っていた。35回で豪の作業着(半纏)をなでていたが、その後ろに帳面をそっと隠してあった。なんて奥ゆかしい行為であろうか。蘭子の場面はやけにしっとり撮られている。

 今回初登場した愛国婦人会は朝ドラに欠かせない存在である(国防婦人会のときもある)。愛国婦人会は1901年に誕生し、その活動は全国に広がっていった。1939年頃はますます盛んに活動していた時期であろう。

 戦時中を舞台にした朝ドラには必ずといっていいほど登場する愛国婦人会(国防婦人会)。たいてい、主人公と対立する役割を担っているが、今回はいかに。

 突然現れた近所の婦人会のリーダー(池津祥子)は、これまでものぶと道ですれ違っていたと言う。1年半をすっ飛ばしたと思えば、突然出てきたわけではなく御免与町にずっと生活していたことをわざわざ語るところがおもしろい。

 今週は脚本協力に、朝ドラの脚本協力経験が抱負で『スカーレット』では本編内スピンオフの脚本を担当した三谷昌登が入っているから、ほのぼのした感じが加わった印象を受ける。これまでも別の作家が脚本協力でクレジットされていて、中園ミホはある種チーム制で『あんぱん』の脚本を作っているのがわかる。

 以前、三谷昌登に取材したとき、中園の大河ドラマ『西郷どん』の脚本協力経験についてこのように語っていた。