下鴨神社の「水」をさらに感じる

下鴨神社でもう一つ見逃せないのが授与品の豊富さです。ここ数年さらに種類が増え、今では京都で一番といっていいほどバラエティーに富んでいます。最も旬の授与品は、3~4月は桜、5月は葵、6~7月は紫陽花(あじさい)、8~9月は星、中秋の名月には月といったように下鴨神社に移ろう折々の四季を繊細なレース織りで表現した「四季守」。みたらし祭の期間中は、灯りをイメージした限定の四季守が数量限定で授与されますよ。
御手洗祭を詣でた後は、涼やかな「水」を求めてさらに境内を歩いてみましょう。糺(ただす)の森の中を歩いて境内南端に鎮座する摂社の河合神社へ。糺の森は、折り重なる木の葉で太陽光が遮られますので、街中のアスファルトの上を歩くより、格段に涼やかな気分が味わえます。
美麗の神様である玉依姫命(たまよりひめのみこと)をおまつりし、いつも美を願う女性の参拝者でにぎわう河合神社。手鏡の形をした「鏡絵馬」は、専用のメイクルームで備え付けの色鉛筆や持参したメイク道具などを使って、自分のなりたい顔にお化粧をし、奉納します。
ここは800年ほど前、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にはあらず」から始まる『方丈記』をつづった鴨長明ゆかりのお社でもあります。鴨長明は、下鴨神社の禰宜(ねぎ。宮司に次ぐ神官の位の一つ)の次男として生まれました。後鳥羽上皇から河合神社の禰宜に推挙されるもかなわず、50歳ごろ出家して大原や伏見、日野で隠遁生活を送りました。復元された長明の庵はかつて河合神社の境内にありましたが、数年前に糺の森の中の神宮寺跡に移築されました。
長明が詠んだ歌「石川や 瀬見の小川の清ければ 月も流れを たずねてぞすむ」に登場する「瀬見の小川」は、今も河合神社の東側で絶えることなく流れていますので、お見逃しなく。
