同業他社とも手を組み相乗効果を生み出す

ーー坂上:ジムの経営、専門誌の発行、フィットネス製品の販売。これら3つの事業はどのように重なり合い、相乗効果を生み出しているのでしょうか。

手塚:例えば、ボディビルや格闘技愛好家向けの雑誌で有益な情報を発信し、弊社のジムで試してもらう、という流れです。他の人が何をやっているか、という情報は自分に当てはめやすいので、積極的に雑誌に載せています。そして試した人に効果が出れば、今度はその人が友人などに教えたくなります。弊社は新規会員の8割が紹介ですから、この口コミは大きな意味を持っています。

ーー坂上:これらの相乗効果を生み出すにあたり、どのような点に気をつけているのでしょうか。

手塚:まずは、お客様に押しつけないこと。相乗効果は有効な半面、お客様には弊社にとって都合のいい商品ばかりを勧めることになりがちです。そうなってしまうと、お客様は煩わしく感じてしまう可能性がありますので、場合によっては同業他社とも手を組み、お互いにプラスになるような関係を築き上げることが大切です。

ーー坂上:具体的にはどのようなことを行っているのですか。

手塚:例えばゴールドジムでは、同業他社の商品も自社製品も同列に扱っています。そうすることで選択肢の幅が広がり、お客様は自分が本当に良いと思ったものを選ぶことができます。相乗効果を目指せば目指すほど、他社の製品も我々の商品体系にとり入れ、お客様に押しつけだと感じさせないように工夫しています。

一愛好家として欲しいものを顧客に勧めることが<br />大きな支持につながったゴールドジムの施設内

ーー坂上:お客様目線を非常に重要視されているのですね。

手塚:そうですね。中でもお客様の「声なき声」に耳を傾けることが重要です。一般的にお客様の声を取り入れると言うと、アンケートを取ってそれに答えることだと考えられがちです。そうではなく、お客様が求めていることを常に予測して改善していく。この声なき声を聞くことが、長い目で見ればお客様の意見をとり入れるジムだと評価してもらえることに繋がります。