山口県岩国市で30年前につぶれかけていた旭酒造が、渾身の思いで生み出した純米大吟醸<獺祭>。今や世界20ヵ国で愛飲され、日本を代表する銘酒となりました。そして、この『獺祭』こそが日本酒にハマるきっかけだったと語るのが、同じく山口県の下関市出身で、お笑いタレントとして活躍するロンドンブーツ1号2号の田村淳さんです。あるイベントで出会って以来、淳さんは旭酒造社長の桜井博志さんと久々の対面を果たし、日本酒の魅力について熱く語り合いました。
桜井 ご無沙汰しております。昨秋のイベントでご一緒して以来ですね。
田村 ご一緒したのはファッション関係のイベントだったので、和服姿で異彩を放っていた社長のこと、恐らくアパレル業界の重鎮なんだろうな、と最初思っていたんです(笑)。それが、僕の地元でもある山口の<獺祭>の社長と分かって、ご挨拶できて嬉しかったです。
桜井 こちらこそ、ありがとうございました。
地元の酒<獺祭>がきっかけで、
日本酒の魅力にとりつかれた
田村 先日、<獺祭 磨き二割三分>の「遠心分離」というお酒を見かけたのですが、これは通常の二割三分とは造り方が違うのですか?
桜井 遠心分離機を用いて圧力をかけずに絞るので、普通に絞ると残らない一番美味しいところを抽出できるんです。
田村 すごいですね。是非こんど飲んでみよう。そもそも僕が日本酒を嗜むようになったきっかけは、<獺祭>なんです!
僕は山口県出身ですし、地元に<獺祭>というお酒があることは以前から知っていました。あるとき、映画『エヴァンゲリヲン新劇場版:序』を観ていたら、(主要な登場人物)ミサトさんの自宅に日本酒が置いてあって、ラベルに<獺祭>と書かれていたんです。「あっ、これは山口の酒だ!」と気づいて、行きつけの和食屋さんでその話をしたら、「ウチにも置いてますよ」と出してくれた。それで飲んでみて、すっかりハマったわけです。
桜井 ホントですか。嬉しい話です!
田村 それ以前は日本酒に対して、カップ酒に代表されるような、美味しさよりカーッとアルコールを流し込む男っぽいイメージを抱いていました。でも<獺祭>を初めて飲んだときは、スススーッと喉の奥に入って、それでいて香りの抜けがよくて、そのスムーズさにビックリしました。「へぇ、こんな味わいの日本酒もあるんだ! しかも、僕が生まれ育った山口に!」と、メチャクチャ感動しました。
桜井 『エヴァンゲリヲン新劇場版:序』を製作した庵野秀明監督も、山口県出身です。これは私の憶測ですけど、ちょうど庵野監督が上京された修業時代というのは、<獺祭>が東京に出回り始めた時期と重なっているので、「おお、地元の酒だ」って当時飲んでくださったのを、今も記憶に留めてくださっているのかもしれません。
田村 なるほど、そういう背景があるんですね。