太っていると腰痛になりやすいのか? 腰痛になったら冷やすべきか?温めるべきか? 骨盤のゆがみって何? こうした腰痛に関する一般的な疑問から、「どこでも腰痛体操」の効き目に対する質問など、全国に2800万人もいる腰痛患者の皆様の素朴な疑問に『1回3分!1人で治せる どこでも腰痛体操』の著者・銅冶英雄医師がお答えします。

Q 太っていると腰痛になりますか?

腰痛体操Q&A(2)<br />「太っていると腰痛になりますか?」銅冶英雄(どうや・ひでお)
お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック院長。医師、医学博士、米国公認足装具士、日本整形外科学会専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本リウマチ学会専門医。1994年に日本医科大学卒業後、千葉大学大学院にて2004年国際腰椎学会日本支部賞、2005年国際腰椎学会・学会賞を受賞。2008年王立パース病院ベットブルック脊椎ユニットに留学を経て、2010年にお茶の水整形外科クリニックを開院。
訳書に『自分で治せる! 腰痛改善マニュアル』など。最近ではダチョウ倶楽部の肥後克広氏を被験者とし銅冶氏が監修を務めた『あきらめない腰痛』が好評を博している。

 肥満と腰痛の関係は、実はまだよくわかっていないのです。肥満の人のほうが腰痛が多いという研究もありますが、肥満度と腰痛には明らかな関連性がないという研究結果もあり、結論が出ていないのが現状です。
 健康に支障をきたさずに痩せることはそう簡単ではありません。高齢者がカロリー制限を行うと骨粗鬆症になる可能性もありますので、無理なダイエットには気をつけたほうがよいでしょう。運動によるダイエットも、過度な運動がかえって腰への負担になり腰痛を悪化させてしまうこともあります。
 おすすめのダイエット法は「糖質制限食」です。これは主食や甘いものなど炭水化物(糖質)を極力減らして、代わりにタンパク質や脂質を中心に摂る食事療法です。糖質制限による減量効果だけでなく、椎間板や関節の原料であるタンパク質を十分に補給できるので、傷んだ軟骨の修復を促す効果があります。また、糖質を摂ると血糖値が上昇して、余分な血糖がタンパク質と結びついて人体組織を劣化させる「糖化」という現象を起こします。この糖化も腰痛の原因の一つと言われますので、糖質制限食は腰椎の組織の劣化を防ぐ効果もあるのです。

Q 腰痛は冷やしたほうがよいですか?
  温めたほうがよいですか?

 腰痛の初期は冷やして腫れを引かせ、慢性期になったら温めて血流をよくするのがいいと言われていますが、私はどちらか気持ちのいいほうでかまわないと思います。いずれにしろ根本的な治療にはなりません。温熱療法が急性腰痛の改善に役立つという研究結果は報告されていますが、慢性腰痛に対するはっきりした効果は報告されていないのです。
 冷やしたり温めたりする刺激は、プラセボ効果(偽薬効果)が出てしまうので、厳密な効果を判定するのは難しいと言えます。とはいえ、腰痛が軽くなるのであれば行なっても大丈夫です。温めるためにお風呂に入るときは、入浴時に姿勢が猫背にならないよう気をつけてください。