「漠然とした不安」におされ、
購入を思い止まる
営業マンから情報を集め、「購入するリスク」と「購入しないリスク」を秤にかけ、ようやく購入に傾きかけていたのに、最終的には「延期する」「もう少し様子を見る」「白紙に戻す」という決定を下すケースが増えている気がします。競合他社に競り負けるというよりも、第2段階に進む前に「案件そのものがなくなってしまう」のです。
社会情勢や業界・業種などにもよりますが、私の実感値としては、約6割の案件が中止、あるいは延期の憂き目にあっています。10件の案件が検討されているとしたら、途中で6件がなくなってしまうわけです。
では、どうしてお客さまは、中止や延期に踏み切るのでしょうか?
資金面での事情など、やむを得ない理由もありますが、実際は抽象的な理由からです。社会全体の雰囲気や時代の流れの中で感じる「漠然とした不安」に惑わされ、根拠もなく、様子を見ることが多いのです。人間には「迷ったら、止める」「理解できないことは、それ以上考えない」という心理的な側面があります。
「景気が良くなったというけれど、消費税も10%に上がるかもしれないし、いまは支出を抑えたほうがいい」「鋼材やセメントなどの建設資材が値上がりしているので、東京オリンピックが終わるまでは設備投資を控えよう」などと考え、現状維持(または撤退)を選ぼうとします。漠然とした不安を持つのは、「将来のことがわからない」「見通しが立たない」からです。