もし社員に対して何かを言いたい、伝えたいと思ったら、その前にまずは「聞く」。社員とのコミュニケーションは、「言う」「伝える」ではなく、「聞く」から始めるべきなのです。
社員の話をちゃんと聞けば、「彼らはこんなことを考えているんだ」「こんな思いで働いているんだ」ということがわかり、社内の景色も違って見えるはずです。結果、あなたの判断や行動も変わるだろうし、独りよがりな「いい迷惑」もなくなるでしょう。
法則4 悪い報告こそ歓迎する
経営者の方たちと話をしていて、彼らがよく嘆いているのは「自分のところに悪い報告が上がってこない」ことです。
では、なぜ悪い報告は、社長のもとに届きにくいのか。
私は、2つの大きな原因があると考えます。
ひとつは、社長自身の言動に起因します。
悪い報告を受けたとき、あなたはその報告者に対して、どんな態度で接していますか? よく思い出してみてください。
絶対にやってはいけないのが「メッセンジャーを撃つ」こと。つまり、悪い報告を受けたとき、その場の感情に任せて、報告者を怒鳴ったり、責め立てたりすることです。「よくぞ報告してくれた」「君のおかげで迅速な対応ができそうだ」と報告者に感謝するぐらいの姿勢が必要です。
そしてもうひとつの理由は、過度に忖度をしてしまう社内環境が、悪い報告が社長のもとに届かない、ふたつ目の原因になります。人が集まり、組織をつくると、そのなかで必ず忖度が起こります。
忖度行動が進行すると、社員は社長の顔色をうかがい、社長にとって耳触りのいいことばかりを言うようになります。まさに社長が「裸の王様」状態となってしまうのです。
悪い報告を聞けば、気持ちは昂り、何とかしなければと焦ったり、不安が募るはずです。しかし、昂る感情に流されてはいけません。感情のままに行動をすれば、メッセンジャーやほかの社員に対して一方的なダメ出し、叱責、非難をしかねません。そうした感情に任せた行動は、問題の解決には一切つながらないし、ますます「悪い報告が届かない」環境をつくってしまいます。
次回は、法則5~7についてお話ししたいと思います。