この状況について、「二大政党制の終焉」という英国政治に批判的な論調も目立つが、ここで注目したいのは、現在の大接戦は、キャメロン政権発足後、支持率が低迷していた保守党が巻き返した結果だということだ(時事ドットコム「英政党支持率推移」)。

 キャメロン政権は、政権発足から約半年後の2011年1月に、日本の消費税にあたる付加価値税の税率を、17.5%から20%に引き上げた(第25回)。当時、リーマンショックによって英国経済は「Great Recession(大不況)」と呼ばれるほど悪化し、金融機関救済や、景気対策として大規模な財政出動を行ったため、英国政府は膨大な財政赤字を抱えていた。キャメロン政権は、不退転の姿勢で、財政再建に取り組み始めたのである。

 そして、驚くべきことは、キャメロン政権が「総選挙を5年ごとに5月の第一木曜日に行う」ことを定める「2011年議会期固定法」を制定したことである。これは、歳出削減と増税という不人気な政策に、支持率が低迷しようとも迷うことなく、任期の5年間しっかり取り組むと英国民に誓ったということだ。

 実際、キャメロン政権の支持率は低迷した。だが、一方で経済政策・財政赤字削減策は次第に効果を見せ始めた。2009年にはマイナス4.3%まで落ち込んでいた実質GDP成長率(対前年比)は、14年に2.6%まで回復した。12年1月には、8.4%に達していた失業率も5.7%まで下がった。そして、公的部門の純借入額も14年度の902億ポンドから激減し、18年度から黒字に転ずると予測されるようになった。その成果を、次第に英国民が理解するようになり、一時は10%以上も労働党にリードされた政党支持率を、保守党は急速に回復したのである。

日本の政権と選挙(1):
「やりたい政策」が理解されるには
あまりに短命だった第一次安倍政権

 要するに英国では、キャメロン政権が財政再建に取り組むにあたって、「解散権」を自ら封印して5年間という期間を確保した。当初、国民は財政再建策を支持しなかったが、成果が出てくると、次第に高く評価するようになったということだ。

 ここで日本の話に戻ろう。5年間も国政選挙がなかった英国と比較すると、日本はとにかく選挙が多すぎるといえる。前述の通り、安倍氏が自民党総裁に復帰した後だけで、3回の国政選挙があったのだ。その後も、4月には国政に大きな影響を与える統一地方選があったし、9月には自民党総裁選がある。そして、2016年7月にはまた参院選があるのだ。