ITを丸投げするシステムインテグレーターは、日本特有?

 わたしが著書に『会社のITはエンジニアに任せるな!』というタイトルをつけたのは、
「経営幹部や業務担当者はITを丸投げせずに、自分ごとにせよ!」
と主張したかったからです。

 これには「社内のIT部門に任せっきりにするな」という主張と、もうひとつ
「社外のSI会社に丸投げするな」という主張も込めています。

 SI会社(システムインテグレーター)はその名のとおり、「システム構築をまるっと請け負いますよ」という業態です。
 個別の機能を提供するとか、エンジニアを派遣するのではなく、それらの要素を組み合わせること(インテグレーション)が売り物です。

 日本では、IT構築のかなりの部分をこのSI会社が担っていますが、実は日本に特有の状況だと言われています。

【日本】
 ITサービス企業(≒SI会社)の従業員数:77万人
 一般企業内のITエンジニア系従業員数:25万人

【米国】
 ITサービス企業(≒SI会社)の従業員数:94万人
 一般企業内のITエンジニア系従業員数:236万人

 ※出典:IPA IT人材白書2010、米国労働省 労働統計局

「ITサービス企業の従業員数」はシステム構築を外部委託しているボリュームを示しています。
 一方の「一般企業内のITエンジニア系従業員数」は、内製のボリュームです。

 日本とアメリカとで、外部委託/内製の比率が逆転していることがわかると思います。
 つまり、日本企業ではシステム構築のかなりの部分を外部のSI会社に任せているのに比べ、アメリカでは企業内に抱えたエンジニアが内製することが多いのです。

 もちろん、何でも「日本はダメ、アメリカを真似ろ」という話ではありませんが、「日本企業では、なぜこんなにITをアウトソースしているのだろうか? これが適性なのだろうか?」と考えてみてもいいと思います。

 わたしの意見を単刀直入に言うと、「これ以上、SI企業にITを丸投げするのはやめよう!」です。
 SI企業に仕事をお願いすることがすべて悪とは言いませんが、現状では多くの会社が、SI企業に依存しすぎています。