変革スピードは、プロジェクトリーダーの数で決まる
ある社長が「マーケティングとITは会社の両輪だ」と仰っていました。それなりにお年を召しているわりに、ITの重要性を理解されていてうれしく思いましたが、この言葉には続きがありました。
「マーケティングとITは会社の両輪だが、ITの方が小さな車輪で、遅い。結局、会社のスピードはITのスピードで決められてしまうんだ!」
そのあと、社長からITへの嘆きの言葉が続きました。
わたしは、これをもう少し踏み込んで、
「プロジェクトリーダーの数で経営スピードが決まる」
と言い切りましょう。
つまり、テクノロジーというよりも、人の問題なのです。
わたしがそう考える理由はシンプルです。
お客さんと変革プロジェクトの実行計画を作っていて、いちばんの制約となるのはお金ではありません。
経営・業務・ITの真ん中に立ち、プロジェクトを率いるプロジェクトリーダー(PL)の人数こそが、実行の制約になるのが現実です。
難しい変革プロジェクトを任せられるPLは、社内にそうゴロゴロはいません。やりたいことが20や30あっても、PLが暇になる頃を見計らって、一つひとつ順番にやっていくしかありません。
まるでPLの人数が、変革の足かせになっているかのようです。
IT人材を預かる情報システム部の部長さんは、そのあたりの事情をもちろん熟知しています。わたしがこれまでお会いした方はほぼ例外なく
「任せられるPLはうちには6人。ということは、立ち上げられるプロジェクトは年に3つだけ。これがウチの限界」
などと、PLの数から、会社全体で取り組める変革プロジェクトの数を逆算しています。
そういうマンパワーの最大値を常に考えておかないと、関係部門からの要望を調整するゲートキーパー役が務まらないからです。
つまり、経営幹部が会社の変革に意欲的かどうかとは関係なく、優秀なPLの人数という身も蓋もない制約によって、変革のスピードは決まってしまっているのです。
だから経営幹部は、プログラミングが自分でできなくても、自社のIT人材については関心を持たざるを得ないのです。