とはいえ、こういう話をすると、「あるある!」「それ、オレのこと!」という反応が意外に多い。多かれ少なかれ、これが一般的な読書のスタイルなのでしょう。

僕自身、数年前まではこの読み方があたり前だと思って読書をしていました。
でも、とてもじゃありませんが、これでは月60冊など不可能です。

そんなわけなので、2012年の夏に当時の「ライフハッカー」編集長から「ウチのサイトで毎日1本、書評記事を担当してもらえませんか?」といわれたときは、内心かなりドキドキしていました。

いまだからいえますが、「ぜひやらせてください!」なんて返事をしながら、頭の中では「(1日1冊なんて読めるわけないよ……)」と思っていたわけです。

それがいまでは、4つのサイトに月60本の書評……。単純計算でも年間700冊以上のペースですから、自分でも「マジかよ?」と感じているのが率直なところです。

元・遅読家として考えた遅読家のための読書術

今回僕が書いた『遅読家のための読書術』は、「過去の僕と同じような悩みを抱えている人」のための読書術の本です。

「元・遅読家が書いた読書術? ……それってどうなの?」

ちょっと心配になりましたか? たしかに「読書本」の著者というのはほとんどの場合、「読書が得意な人たち」ですよね。自分の読書能力に疑問を感じることすらなく、「すらすら本が読めてしまってきた優秀な人たち」だといえばいいでしょうか。

ですので、この本に価値があるのだとすれば、「本を読むのが苦手だった人間が、それを克服した方法を書いている」という点だと思います。

で、結局のところ、僕にいったいなにが起こったのか?