感情認識パーソナルロボット「Pepper」元開発リーダーであり、初の著書『ゼロイチ』を上梓した林要さん。昨年ソフトバンクを退職し、ロボット・ベンチャー「GROOVE X」を立ち上げ。そのGROOVE Xが入居しているのが、DMM.make AKIBA。「モノを作りたい人が必要とするすべてを用意している」というこの施設は、いったいどのような場所なのか?林さんとDMM.make AKIBAエヴァンジェリストの岡島さんにご案内いただいた。(構成:崎谷実穂)

秋葉原に生まれた「アメリカ西海岸」のようなオフィス

 JR秋葉原駅から徒歩3分。駅からも見える富士ソフト秋葉原ビルのなかに、モノづくりスタートアップのインキュベーション・オフィス「DMM.meke AKIBA」はある。ソフトバンクを退社した林要さんが起業したロボット・ベンチャー「GROOVE X」が入居していると聞き、お邪魔した。

 DMM.make AKIBAがある富士ソフトビル12階に足を踏み入れると、打ち合わせをする人、作業をする人、談笑する人とたくさんの人で賑わっていた。ここは、「Base」と呼ばれるスペース。シェアオフィスやイベントスペースなど、ビジネスの拠点となる場所である。

いま注目の「DMM.make AKIBA」潜入リポート<br />すごいのは10億円の「施設設備」だけではない!<br />DMM.make AKIBAのコミュニティ・スペースである「Base」。開放的なスペースで、打ち合わせや作業を行っている。

 メイソンジャーで飲み物を提供するおしゃれなカフェスペースに、木材を基調としたナチュラルな内装。まるで、アメリカ西海岸のオフィスのような雰囲気がただよっている。

いま注目の「DMM.make AKIBA」潜入リポート<br />すごいのは10億円の「施設設備」だけではない!<br />「Base」にはカフェ・スペースも併設されている。

 ふと、カウンターの下にあるゴミ箱に目をやると、「燃える」「燃えない」ではなく、「金属くず」「電子基板」という分類があり、モノづくりスタートアップののインキュベーション施設であることを感じさせる。棚には、ここに入居している企業のプロダクトや、はんだごてなどの電子工作用のツールが置いてあり、ちょっとした電子工作なら、オープンスペースでもできるそうだ。CMやウェブの記事などからDMM.make AKIBAといえば、本格的な工作機械がそろう「Studio」のイメージが強かったため、こうしたコミュニティ・スペースが賑わっていることは意外だった。

 ここで、林要さんとDMM.make AKIBAエヴァンジェリストの岡島康憲さんと合流。

いま注目の「DMM.make AKIBA」潜入リポート<br />すごいのは10億円の「施設設備」だけではない!<br />DMM.make AKIBAエヴァンジェリストの岡島康憲さん(右)と、GROOVE Xの林要さん。

  さっそく、おふたりに第一印象を伝えてみると……。

「たしかにここのスタジオの設備もすばらしいのですが、僕としてはそれに惹かれて集まってくる“人”と、そこで生まれるコミュニティが、ここのバリューだと思っています」(林さん)

「ハードウェアのスタートアップをやろうとする人たちが求めるものというのは、機材だけではないんですよね。他にもコミュニティや教育、ビジネスなどいくつもあります。それらを包括的に提供できる施設が、DMM.make AKIBAなんです」(岡島さん)

 なるほど。たしかに、入り口には設計・開発、知的財産権など相談会の告知が貼ってある。ここからも、DMM.makeAKIBAが「教育機能」を担っていることが窺える。

いま注目の「DMM.make AKIBA」潜入リポート<br />すごいのは10億円の「施設設備」だけではない!<br />「Base」入口には「製品質検証」「事業計画」など各種相談会の案内が掲示。定期的な勉強会・相談会によって、入居企業をサポートしている。

「スタートアップのチームは、それぞれ得意不得意があります。すべてがそなわっているチームはそんなにありません。ですから、ここでは専門家を招いて、設計・開発、事業計画のつくり方、製品を出荷するときの品質保証についてなど、足りない部分のノウハウを身につけるための相談会を開いています」(岡島さん)