8つの入試に押し寄せる難関校受験生

 表1にある偏差値60以上の上位校から見ていこう。このランクに女子校はないこともあって、女子受験生の共学校での出願者数は男子より多く、偏差値も高くなる傾向がある。それでも、広尾学園を除けば、おおむね実倍率は2倍台前半に収まっている。1日午前の難関・上位校の入試は21あったが、1日午後は8つに限られる。偏差値65を超えるのは広尾学園の女子受験生のみだ。

 先述したように、東京農大第一と神奈川大附属にとっては最初の入試となる。東京農大第一は算・理と算・国の入試を合わせた数値だが、21年の志願者数・実倍率はそれぞれ838人・2.13倍(男子376人・2.31倍、女子462人・2.01倍)と554人・2.21倍(男子283人・2.37倍、女子271人・2.06倍)だった。22年は、東京農大第一が微増傾向なのに対して、神奈川大附属は絶好調で、すでに700人を数え、20年の725人も超える勢いだ。

 1日午後の広尾学園(第2回)では2つの入試を行う。21年には合計で900人を超えている。この入試で一番多くの合格者を出すため、午前の第1回よりも実倍率は緩和する。25日現在、本科は522人、ISG(インターナショナル・スタンダードグループ)は239人で、前年実績の8割を確保した。ISGの男子は勢いがある。

 男子校で1日午後が初回となる東京都市大学付属(第1回)は、表1に第1回II類(最難関国公立大)、表2に第1回I類(難関国公立私大)が載っている。2つの入試を合わせると志願者数は25日時点で1100人を超えており、東京・神奈川で行われる1日午後入試では、最も多くの受験生がこの学校に押し寄せていることがうかがえる。どちらの入試も21年を上回る勢いで、特にII類は630人となっており、どこまで伸ばすかが注目される。

 残る男子3校はいずれも算数の1科入試で、難関校の併願先として人気がある。20年に766人とこのランク最多の志願者を集めて話題となった巣鴨(算数選抜)は、2.98倍の実倍率を敬遠されてか、21年には638人と大きく減らした。22年は25日時点で462人と緩和傾向にある。

 すべての回で本科と理数コース(募集人員40人)に分けて募集をしている世田谷学園。1日午後の算数特選は、24日現在で本科302人、理数239人となっている。理数に出願すると自動的に本科にも出願されるので、本科で比較すると、21年の435人にはだいぶ遠い様子である。

 神奈川では、男子校の1日午後入試は少ないこともあってか、鎌倉学園(算数選抜)は絶好調で、25日時点で21年実績に1割半上乗せの185人を集め、200人超えが確実な情勢だ。