ダイヤモンド クォータリー(5)

岩垂邦彦日本で最初の外資系企業をつくった技術者企業家
長谷川 信
1880年代後半はアメリカにおける電力事業の黎明期に当たるが、この時、「電流戦争」と呼ばれる、2人の天才科学者の確執があった。すなわち、発明王ことトーマス・エジソンは直流システムを主張し、ニコラ・テスラは交流システムこそ優れていると訴え、互いに譲らなかったのだ。最終的には、ナイアガラの滝の発電事業でテスラの交流発電機が採用され、以降交流が主流となる。この電流戦争は日本にも及んだ。それは、エジソンの発明に感銘を受け東京電燈(東京電力の前身の一つ)設立を働きかけた藤岡市助(工部大学校教授)は、みずから技師長になって直流システムを採用し、一方、のちに大阪電燈(関西電力の前身の一つ)の技師長となる岩垂邦彦は交流を選択した。実を言うと、テスラも岩垂もエジソンの下で働いていたのだが──。この岩垂邦彦という男、日本で最初の外資系企業、日本電気(NEC)の創業者であり、いまあらためて評価すべき「技術者企業家」の先駆者といえる。
岩垂邦彦日本で最初の外資系企業をつくった技術者企業家
無形資産のベストパートナーを探すパーパスドリブンM&A
ダイヤモンドクォータリー編集部
コロナ禍でも活況が続くM&A市場だが、「何のためか」という目的が不明瞭であることにより、シナジーが生まれそうにないにもかかわらず、人気のDX銘柄に飛び付いて高値づかみをしてしまうケースも目につく。それらに共通しているのは、みずからのありたい姿を長期的な視点で描き切れていない点だろう。手段の目的化に陥らず、真の目的にたどり着くM&Aを実現するには何が必要なのか――。
無形資産のベストパートナーを探すパーパスドリブンM&A
複雑化するバリューチェーン、ビジネスモデルに伴う難題の最適解を導くために
環境変化の激しさが増大する一方、ビジネス活動の状況は把握しづらいものになっている。バリューチェーンは複雑化しており、サブスクリプションなど新たなビジネスモデルを手掛ける企業も増えた。マネジメントの難易度は、以前とは比較にならないほど高まっている。データアナリティクスによって、未来を予測し、変化への動的管理を行い、中長期にわたる企業の全体最適を導く「次世代EPM(Enterprise Performance Management)」が、いま注目されている。
複雑化するバリューチェーン、ビジネスモデルに伴う難題の最適解を導くために
「3Dデジタルツイン」がものづくりのDXを実現する
紙の図面と試作機によるすり合わせといったアナログなものづくりでの成功体験が、日本の製造業のDXを阻んでいる。現地現物主義や現場力といった日本の強みを活かしながら、製造プロセスとビジネスモデルのDXを進めるためには、設計を起点とする「3Dデジタルツイン」が大きな威力を発揮する。
「3Dデジタルツイン」がものづくりのDXを実現する
デジタルトリプレットで日本のものづくりの強みを進化させる
ダイヤモンドクォータリー編集部
デジタル世界でのシミュレーションと現実世界へのフィードバックループは、設計・開発から生産、アフターサービスに至る製品ライフサイクル全体に大きな変革をもたらす可能性を秘める。だが、日本の強みを活かすデジタルツインの活用法については、まだその解を見出せていない。その具体的なアプローチとして東京大学の梅田靖教授が提唱するのが、人を中心とするデジタルエンジニアリングサイクル「デジタルトリプレット」である。
デジタルトリプレットで日本のものづくりの強みを進化させる
トランジションとトランスフォーメーション両構えの脱炭素化戦略
ダイヤモンドクォータリー編集部
「2025年カーボンニュートラル」という目標達成に向け、日本の産業界がいっせいに動き始めた。他方、脱炭素実現に向けては、さまざまなイノベーションと社会実装の加速が必須である。アンモニアやメタンを活用する脱炭素技術の開発において産業界からの期待が大きいIHIは、既存技術・インフラを活かした「トランジション」戦略と、画期的なブレークスルーによる「トランスフォーメーション」戦略の両構えで、カーボンニュートラル社会の実現を目指す。
トランジションとトランスフォーメーション両構えの脱炭素化戦略
浅野総一郎渋沢栄一が認めた不撓不屈の起業家
齋藤 憲
渋沢を語るうえで欠かせない事業家がいる。浅野総一郎である。総一郎の事業家人生をたどると、ビジネスチャンスなどそこら辺に転がっており、だからこそ起業や新規事業ごとき身構えるほどのものではないが、育成・成長させることは難しいという、古くて新しい教訓が見えてくる。それは、文字通り、ベンチャーには失敗がつきまとうという意味でもある。ところが、この当たり前のことが脇に置かれ、失敗を前科のようにマイナス評価し、安定を是とする考え方が日本全体に染み付いている。明治から高度成長期に至るまで、欧米に大きく遅れていた日本に、さまざまな産業を勃興し、「東洋の奇跡」を起こしたのは、挑戦と失敗を繰り返してきた産業人たちである。浅野総一郎はその代表格であり、落第経営者どころか、一流の経営者だったといえる。
浅野総一郎渋沢栄一が認めた不撓不屈の起業家
多様性、人生100年時代、そして起業家社会【後編】
ダイヤモンドクォータリー編集部
京都大学の協力の下に始まった、総長の湊長博氏と京都大学を卒業したビジネスリーダーたちとのシリーズ対談。第1回目は、1978年工学部卒のNTT代表取締役社長、澤田純氏をお招きし、第2回目では、MS&ADホールディングス会長の柄澤康喜氏にご登場いただいた。柄澤氏は現在、経団連でダイバーシティ推進委員会と経済財政委員会の委員長を務めており、ダイバーシティ&インクルージョン、人生100年時代、何よりリスクマネジメントについて造詣が深い。今回の対談でも、産学の立場の違いこそあれ、これらのトピックスのみならず、教育の問題などについて建設的な意見が交わされた。
多様性、人生100年時代、そして起業家社会【後編】
多様性、人生100年時代、そして起業家社会【前編】
ダイヤモンドクォータリー編集部
京都大学の協力の下に始まった、総長の湊長博氏と京都大学を卒業したビジネスリーダーたちとのシリーズ対談。第1回目は、1978年工学部卒のNTT代表取締役社長、澤田純氏をお招きし、第2回目では、MS&ADホールディングス会長の柄澤康喜氏にご登場いただいた。柄澤氏は現在、経団連でダイバーシティ推進委員会と経済財政委員会の委員長を務めており、ダイバーシティ&インクルージョン、人生100年時代、何よりリスクマネジメントについて造詣が深い。今回の対談でも、産学の立場の違いこそあれ、これらのトピックスのみならず、教育の問題などについて建設的な意見が交わされた。
多様性、人生100年時代、そして起業家社会【前編】
カーボンニュートラル実現の切り札、「GX経営」とは何か【イベントレポート】
ダイヤモンドクォータリー編集部
「カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス」設立から約1年後の2022年3月10日、設立1周年を記念して「ダイヤモンドクォータリー特別フォーラム」が開催された。『ダイヤモンドクォータリー』では、企業変革すなわち「X経営」を取り上げているが、とりわけ注目しているのが、グリーントランスフォーメーション経営(GX経営)だ。特別フォーラムでは、タイトルに「カーボンニュートラルはGX経営から始まる」を掲げ、先進企業が登壇。キーパーソンによるセッションと、パネルディスカッションが行われた。
カーボンニュートラル実現の切り札、「GX経営」とは何か【イベントレポート】
「ヒューマナイジング・ストラテジー」が日本企業の底力を引き出す
ダイヤモンドクォータリー編集部
日本の知的競争力は、かつては世界に冠たるものであったが、1993年から約30年の間、低下し続けている。その復活を図るには「ヒューマナイジング・ストラテジー(人間くさい戦略)」がカギを握る。本稿では、一橋大学名誉教授である野中郁次郎氏が語った、今後の日本企業成長の鍵となる「共感経営」について紹介する。
「ヒューマナイジング・ストラテジー」が日本企業の底力を引き出す
広岡浅子明治の女性ターンアラウンドマネジャー
宮本 又郎
NHK連続テレビ小説(朝ドラ)の中で、21世紀を迎えてから最高視聴率23・5%を記録した『あさが来た』は、広岡浅子という明治の女性実業家がモデルである。彼女は、「東に尾張屋銀行の峰島喜代子、西に鈴木商店の鈴木よね、大同生命の広岡浅子あり」といわれた明治・大正の3女傑の一人として知られる。
広岡浅子明治の女性ターンアラウンドマネジャー
日本のものづくりと製造業の未来
ダイヤモンドクォータリー編集部
1990年代から2000年代にかけての本格的なグローバル化、2000年代からのIT化、その後現在に至るまでの急速なデジタル化という変化の大波の中で、日本企業の多くは辛酸をなめてきた。一方、デジタル化によってサイバー(データ)とフィジカル(モノ)の世界が結び付く「インダストリー4.0」が動き出し、製造業は大変革の局面を迎えている。その先駆者としてDXに挑んできた小松製作所や東芝の事例をひも解きながら、日本の「製造業DX」のあり方、組織変革や人材育成について議論する。
日本のものづくりと製造業の未来
イノベーションの性質を知れば成長への道筋が見えてくる
ダイヤモンドクォータリー編集部
平成の「失われた30年」で老化が進行した我が国に、イノベーション創出による再活性化が必要なことは論をまたない。カーボンニュートラルをはじめとしたグリーンエコノミーという新たな巨大市場においても、イノベーションなくしては勝者たりえない。だが、イノベーションは「野生化」する性質を持っており、それを飼い慣らすのは至難の業である。野生化したイノベーションをいかにマネジメントし、再成長へと結び付けていくべきか。イノベーション研究で最も権威ある国際的な賞の一つ「シュンペーター賞」を受賞した、清水洋教授に聞く。
イノベーションの性質を知れば成長への道筋が見えてくる
グローバルジャイアントの逆を張る戦略
ダイヤモンドクォータリー編集部
2010年、テルモは経営戦略論の大家・マイケル・ポーター教授の名を冠したポーター賞を受賞した。これは、独自性のある優れた競争戦略を実践し、高い収益性を実現している企業に贈られるもので、カテーテル事業におけるグローバルジャイアントの逆を張る戦略が評価された。当時経営企画室長として、この受賞を主導した佐藤慎次郎社長インタビューの中で、テルモがグローバルプレーヤーになった2つの成功要因が見えてきた。それは「ゲートウェイ」であり、「顧客エンゲージメント」である。ここに長年培った技術力が加わり、世界で独自のポジションを獲得することができたわけだが、テルモはそこに安住してはいない。医療のパラダイムシフトが加速する中で、テルモ流の「新しい医療」への挑戦が始まっている。
グローバルジャイアントの逆を張る戦略
災害大国日本だからこそ「リスク感度」が問われる
ダイヤモンドクォータリー編集部
柄澤氏によると、「リスクの語源を遡ると、イタリア語の“risicare”、アラビア語の“risq”にたどり着く。その意味するところは、どちらも未来に夢や展望を持って挑戦し、その過程において危険や損失を被る可能性がある」という。これらの語源がいみじくも示しているが、リスクは「危機」と言い換えられるように、チャンスと危険の両面がある。何かが生じるといっきに拡大していく「スケールフリーネットワーク」の力がグローバル経済に強く影響を及ぼしており、何が起こるか予測できないといわれる。だからこそ、リスクについて考えてみたい。
災害大国日本だからこそ「リスク感度」が問われる
取締役会3.0の時代
ダイヤモンドクォータリー編集部
1990年代、日本にコーポレートガバナンスが紹介された当時、ここまで社会的に認知され、制度的に整備されるとは、誰も想像していなかった。そして現在、発展的進化を遂げ「取締役会3.0」(Board 3.0)の時代といわれる。従来の2.0の時代からの問題、たとえば経営陣と取締役会の間における情報の非対称性、社外取締役が調査・分析するためのリソースや時間の決定的な不足、社外取締役のインセンティブやコミットメントの欠如などは今後も継続的に取り組まれていくべきだが、取締役会が議論すべきテーマは広がっている。戦略はもとより、倫理、パーパス、無形資産、多様性、ステークホルダー資本主義など、江川氏に取締役会にとっての重要トピックスについて聞く。
取締役会3.0の時代
社員の挑戦を会社の成長に変える大改革
ダイヤモンドクォータリー編集部
働き方に対する価値観が大きく変化している中で、従業員のパフォーマンスとエンゲージメントをどう高めるべきか。グローバルカンパニーから伝統的日本企業に転身して人事制度改革を指揮する三菱ケミカルの中田るみ子氏と、プロフェッショナル集団における働き方改革のリーダーを務めるアビームコンサルティングの岩井かおり氏の2人に、「個の尊重」時代の人材マネジメントについて聞いた。
社員の挑戦を会社の成長に変える大改革
サプライチェーンの価値創出力は企業戦略と一体のデザインで決まる
米「フォーチュン100」企業の約7割が利用するサプライチェーン関連のITソリューションを提供しているCoupa。その日本法人トップは、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱が尾を引く現状をどう見ているのか。そして、サプライチェーンの価値創出力を高めるためにどのような手を打てばいいのか。小関貴志氏に聞いた。
サプライチェーンの価値創出力は企業戦略と一体のデザインで決まる
プロセス主導型変革で高度業務にシフトしグローバル競争力を飛躍的に強化する
ジェンパクトは、顧客企業のオペレーションの最適化から、デジタルやデータアナリティクスを駆使した付加価値創出支援へと業容を広げてきた。同社が提唱するプロセス主導型変革は、ノンコア領域の徹底した効率化によって企業体力を強化しつつ、大胆なDXへのチャレンジを可能にするアプローチとして注目される。
プロセス主導型変革で高度業務にシフトしグローバル競争力を飛躍的に強化する
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