セキュリティ脅威が複雑化・高度化し、いっぽうで働き方が多様化する中で、境界防御のセキュリティ対策では、もはや十分な効果を得ることはできない。ゼロトラストを前提に、従来の対策を見直す必要がある。こうした考え方を10年以上前の創業時から貫いてきたのが、ゼットスケーラーだ。クラウドベースの同社のセキュリティソリューションに、時代が追い付いてきたともいえそうだ。

第3次AIブームを巻き起こしたディープラーニングは、多くの分野で導入されてきた。しかし、その真価を引き出せている企業はまだ一握りといえる。そんな中、ディープラーニングの課題を解決し、“現場で使えるAI”として注目されるのが、「スパースモデリング」だ。ディープラーニングと何が決定的に違うのか。世界でも稀な、スパースモデリング実装の先駆者であるHACARUSの藤原健真CEOに話を聞いた。

リスク多発時代の新たな経営ミッション「デジタルリスクマネジメント」
コロナ禍を契機に、日本でもリモートワーク普及やDXが急加速した。デジタルテクノロジーの恩恵ばかりが注目されるが、そのリスクを適切に管理できている企業は少ない。事実、この1年を振り返ってみても、デジタルリスクに起因する重大インシデントが多数発生し、企業価値を大きく毀損した企業もある。多くの企業が見落としている「デジタルリスクの脅威」とは何か。それらとどう向き合い、対処すべきか。デジタルの力を正しく引き出すために不可欠な「デジタルリスクマネジメント」について、KPMGコンサルティングの専門家に話を聞いた。

資生堂は、2021年から新たな中長期経営戦略の初年度に入った。その指揮を執るのが、2014年4月に社長に就任した魚谷雅彦氏である。変革のリーダーという仕事は、想像以上に困難が付きまとう。それは、矛盾や相克といった「両義性」を抱えた問題、つまり改革のジレンマである。しかし、魚谷氏によると、こうしたコンフリクトこそ価値創造や創意工夫の源泉であるという。矛盾や相克、同床異夢を建設的に融和し、そこから価値を生み出すのが、魚谷氏の言うところの「信頼」という無形資産である。

ここ数年、主要なアメリカ企業が参加するビジネス・ラウンドテーブル、世界経済フォーラムなどは「マルチステークホルダー主義」の支持を表明し、指標による管理を推奨し始めた。日本では、産業界や資本市場関係者、はてはマスメディアも手放しで、これを支持・称賛している。だがその果てには、経営の思考停止を招きかねない。日本発のマルチステークホルダー論である近江商人の「三方よし」は、自分の頭で考え、実践することを求め、それゆえ自在性に富んでいる。

地政学的リスクが高まる中、有事の際、調達や納期の遅れを最小限に留める対策が喫緊の課題となっている。これは、グローバルに事業展開している企業だけでなく、ドメスティック企業も例外ではない。なぜなら、あらゆる分野のロジスティクス/サプライチェーンがグローバルに広がっているからだ。グローバルロジスティクス研究の第一人者、東京大学大学院工学系研究科准教授の柴崎隆一氏に聞く。

サイバーテロや情報流出、システムの機能不全など、「情報セキュリティ」の重要性は高まる一方である。しかし日本では、いまだ優先順位の低い経営課題に留まっている。情報セキュリティの研究者であり実践者でもある高倉弘喜氏にそのポイントを聞く。

企業倫理は、以前から議論されてきた課題だが、最近では、先覚的なビジネスリーダーたちがその重要性を指摘するようになった。こうした新しい現実に対応するには、コンプライアンスやハラスメントに関する研修以上に、まず「それは倫理的といえるのか」という唯一最善解のない問いを深く考える知的修練、たとえばゼロベース思考やクリティカルシンキング、EQ(心の知能指数)の向上などが効果的である。本インタビューでは、技術の進歩、資本主義や企業組織にまつわるジレンマやトリレンマについて、倫理学の視点から考え直す。

日本でもM&A件数は増えているものの、欧米ほど戦略的に活用できているとは言いがたい。事実、コロナ禍にあって、日本は縮み指向だが、欧米とりわけヨーロッパでは、変革を加速し、新しい成長軌道を描こうと大幅に増加している。本インタビューでは、M&A業界の重鎮である渡辺章博氏に、あらためてM&Aの戦略性や有効性について聞く。そこでは、中堅・中小企業を含めた日本産業界におけるM&Aの伸び代の大きさが示された。

健康志向や本物志向に応えるハム・ソーセージ・ベーコンなどを製造する信州ハム(長野県上田市)。20年以上使い続けた生産管理システムの更新を迫られた同社は、現場のニーズにかなったシステムを構築するため、ITベンダーに頼らず内製化に挑んだ。その結果、生産現場の作業効率の改善だけでなく、各工程における歩留まりの「見える化」、意思決定のスピードアップなど、さまざまな成果が得られた。

ローコード開発に対応したデータベースソフト「FileMaker」(ファイルメーカー)や、ワークフロー自動化プラットフォーム「Claris Connect」(クラリス・コネクト)などを提供するClaris International。2019年8月に社名をFileMakerから創業当初のClarisに戻し、由来するラテン語のように、“輝く”(Claus)未来へ顧客企業とともに歩む決意を新たにした。アジャイルな経営が企業に与えるインパクトについて、ブラッド・フライターグCEOに聞いた。

バリューチェーン終点の消費者からネットワーク中心の生活者へ
トヨタ自動車の「Woven City」やJR東日本の「品川開発プロジェクト」など、スマートシティ構想があらためて脚光を浴びている。その背景には、デジタルの進展と社会課題の解決に向けた強い要請がある。都市のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進め、スマートシティ開発を成功させるポイントは何か。戦略系コンサルティングファームのアーサー・ディ・リトル・ジャパンの3氏に聞いた。

菅義偉総理大臣の「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」という宣言以後、日本産業界は大きく脱CO₂へと傾斜した。脱CO₂に拍車がかかっていくことは歓迎すべきだが、とかくエネルギー分野には、さまざまなトレードオフや見解の相違を伴う、一筋縄ではいかない多元的で複雑な議論がつきまとう。JERA社長の小野田聡氏へのインタビューを通じて、こうした唯一最善解のない地球環境問題に対処するために事業や経営を改革していく「グリーン・トランスフォーメーション」(GX)について考えてみたい。

シマノは「自転車業界のインテル」といわれる。PCのプロセッサーの大半がインテル製であるように、ギアなどの自転車の中核部品の多くがシマノ製だからである。事実、世界各国でつくられている自転車の部品メーカーとして高いシェアを誇る、押しも押されもせぬリーディングカンパニーである。現社長である島野容三氏に、ものづくりにおける強いこだわりとともに、次の100年への転換点となる現在地とデジタル技術の進化を踏まえたうえで、超デジタル、すなわち新しいアナログ世界への挑戦についても語ってもらった。それは、これからの日本企業のあり方を示唆すると同時に、忘れ物を再発見することでもある。

DXの重要性が声高に叫ばれ、中でもソフトウエア開発は企業の戦略実現のためのキーストーンに位置づけられる。その際、何より優先されるのが開発のスピードであり、その名の通り、「アジャイル(俊敏な)開発」という手法が急速に普及している。ただし、少人数のチームが主体となるため、大規模開発には向かないとされてきた。真相はどうなのか。世界的経営学者の野中郁次郎氏とTDCソフト執行役員の上條英樹氏が対話を繰り広げた。

パンデミックが問い直すリーダーシップのあり方
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック(世界的大流行)は、わずか数カ月の間に、リーダーシップのあり方を根本的に問い直した。世界のあらゆる国や組織、個人がコロナ禍の影響を受け、先行きの不透明さが増す中で、経営とリーダーシップをどのように再定義すべきか。KPMGの2人のリーダーに聞いた。

サプライチェーン改革の「新しい現実」
新型コロナウイルスのパンデミックが契機となり、サプライチェーンの見直しが企業経営の最優先課題の一つに浮上してきた。これと軌を一にして、開発途上国における児童労働、不平等貿易、脱炭素といったSDGs(持続可能な開発目標)の達成や、新たな地政学的リスクへの対応などもよりいっそう意識されるようになった。企業はこうした「新しい現実」を踏まえたサプライチェーン改革に取り組まなければならない。経営者のためのクイックレッスンを3人の専門家に仰ぐ。

「非財務情報開示」は誰のためか
新型コロナウイルス感染症の拡大により、業績を大幅に悪化させたり、ビジネスモデルの転換を迫られたりする企業が相次いだ。そこであらためて浮き彫りになったのは、財務情報から予測できる企業価値には限界があるということ。だが一方で、矢継ぎ早に導入される非財務情報開示のフレームワークや投資家からの要請に、企業からは「開示疲れ」を指摘する声も聞こえる。金融庁で企業情報開示の強化に取り組む園田周氏と、あずさ監査法人 開示高度化推進室を率いる関口智和氏のインタビューから、誰のため、何のための非財務情報開示なのか、その本質を探る。

デジタルとアナログのベストミックス
日本でもデジタル・トランスフォーメーション(DX)が声高に叫ばれてきたが、今回のコロナ危機でデジタルシフトはさらに加速した。その一方で、企業間のデジタル格差が広がっているという指摘もある。デジタルによってビジネスのトランスフォーメーションを実現する企業には、どのような特徴があるのか。それを示したKPMGのCIO調査をもとに、早くから製薬業界のDXをリードしてきたアステラス製薬にデジタル戦略のポイントを聞いた。

サステナビリティ経営へのトランスフォーメーション
世界経済フォーラムは、地球の持続可能性、人類の平等性を取り戻すことを目的に、「グレート・リセット」というイニシアティブを立ち上げた。これに呼応するかのように、以前より環境問題に敏感なヨーロッパはもとより、アメリカ、日本、中国なども脱炭素に大きく舵を切り始めた。この新しい現実では、「サステナビリティ」の流れは不可逆であるばかりか、従来の企業経営の考え方、ビジネスのやり方、ゲームルールの変更を迫られる。サステナビリティ経営へと舵を切るうえでの実践知について、2人の専門家に聞く。

