
竹井善昭
第89回
多くの日本人は「やさしい」という言葉が好きだ。「人にやさしい」とか「地球にやさしい」とか。しかし、僕はこの「やさしい」という言葉が大嫌いである。「やさしいことは良いことだ」と誰もが無批判に信じ込んでいるが、「やさしさ」が人をスポイルすることもあるのだ。

第88回
今年もAKB48選抜総選挙が行なわれた。1位となったのはご存じのとおり、指原莉乃。けっして予想外の結果ではなかったが、僕が感じたのは一種の虚無感。今回はその虚無感、脱力感の本質を探りつつ、選挙のあり方についても考えてみたい。

第87回
最近は社会貢献系のアワードやビジネス・コンテストが増えている。日経新聞も「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」を創設。しかし、選考結果を見た僕の率直な感想は、「何も新しさを感じない」だった。

第86回
GW明けに突如起こった川口順子議員の解任劇。この解任劇を見ていると、日本のCSR界が置かれた「課題」との共通点を感じる。それは、CSRとコンプライアンスの関係。もっと言えば、「企業の正義」と「ルール」の関係である。

第85回
景気回復の指標となるのは、円高や株高といった客観的な数字。しかしそれはあくまでも「結果」にすぎない。日本経済がどちらに向かっているかの今後知るためには、数字には現れない「気の流れ」のようなものを理解する必要がある。実はその予測インジケーターとなるひとつが、『女子力』であると考えている。

第84回
今年はやはり「女性の年」なのかもしれない。正確に言えば、女性の尊厳を取り戻す年である。さらに大きくそのことを確信させる「アイドル」が現れた。マララ・ユスフザイ。パキスタン生まれの15歳の少女である。

第83回
いま、議論が噴出しているAKB48峯岸みなみの「坊主謝罪」問題。好感を持って受けて入れている一般人は少なく、多くの人は「違和感」を感じている。そこには、女性が髪を刈ることに「正義」があるかどうかという、「文化」と「女性の尊厳」に関わる問題が絡んでいる。

第82回
日本ファンドレイジング協会による『寄付白書2012』が発行された。大震災が起き、日本の寄付元年と言われる2011年の寄付市場、寄付事情について綿密な調査とデータ分析により明らかにしている。今回は同白書のデータから、日本の寄付文化について考えてみる。

第81回
日本企業の社員の「やる気」は世界最低だという。これは、アメリカの人事コンサル会社の調査による「事実」である。なぜこんなことになってしまったのか。

第80回
毎年、年末の当連載では、『筆者が勝手に選ぶ社会貢献アワード』をご紹介してきたが、今回から客観性を持たせるべく、選考委員を召集。「根源的・革新的・過激」という3つのポイントで審査した。いわば「過激な社会貢献活動」を選ぼうというわけである。

第79回
ソーシャルイノベーションが企業の戦略中枢に置かれたとき、CSR部署はどうなるのか? CSR業界には「CSR部の最終的な目標は、CSR部がなくなること」という言説もあるが、そのとおり消えてなくなるのか? 僕はそのいずれでもないと考えている。

第78回
社会に大きなインパクトを与え、世界を変えるためには大きなアイデアが重要だ。そして、大きなアイデアを生み出すためには「ビッグ・コンセプト」が必要である。しかもいま、世界に通用するコンセプト。それを生み出せる人が「グローバル人材」になれるのだ。

第77回
ワタミが中心となって展開している「みんなの夢アワード3」の一次選考通過者51名が発表された。結果を見て僕自身がまず驚いたのは、環境問題への関心の低さである。数年前のエコ・ブームからは考えられない数字だと思う。

第76回
「大きな社会的インパクトは、どのようにして生まれるか」について、それこそ大きなインパクトを与える本が発売された。同著では、マーケティングやアイデアといった偉大なNPOに必要だと言われる通説が間違いだと指摘しており、筆者も目から鱗の内容だった。

第75回
2年年前に発行した拙著『社会貢献でメシを食う。』で紹介した「CSR3.0(本業とCSRの統合)」は、いまやメインストリームになりつつある。当時から「次の4.0はありますか?」という質問をよくされていたが、いまになって、ようやく2つの方向性が見えてきた。

第74回
いま、ソーシャル・ビジネスをめぐる環境が激変している。実際、企業によるソーシャル・ビジネス・コンテストも増えている。ソーシャル・ビジネスを大きく育てる環境が整ってきたということだ。

第73回
「この国には何でもある。しかし、希望だけがない」というエッジの効いたフレーズで話題になった『希望の国のエクソダス』から10年以上。村上龍が描いたように、いまの日本の若者たちには本当に希望がないのだろうか。

第72回
誰が世界を変えるのか? 少なくとも社会貢献シーンでは、世界を変えるのは一人の天才のアイデアではなく、「集合知」なのではないかと思う。 その答えは案外とアイドル・グループのあり方にあるかもしれない。

第71回
7月1日から、ソーシャル・ゲームのコンプガチャが規制の対象となった。ユーザーがつぎ込んだ過剰な金額ばかりが問題となっているが、この問題の本質はそれだけではない。そこには「市場主義の限界」がある。

第70回
昨今は多くの企業でボランティア制度を設け、社員に対してボランティア活動を奨励しているが、これもやめた方がよいと考えている。では、社員ボランティアをやめて企業は何を社員にさせるべきか。それは「プロボノ」である。
