
上久保誠人
第112回
日本が真の平和国家を志向するための「知の拠点」となるべきは大学であるはずだ。しかしその現状は、次第に自由な言論がやりづらい空気が広がり、深刻だといわざるを得ない。

第111回
安保法制は本国会で成立するだろう。だが本質的に重要なことは、安保法制を成立させる代償として、安倍首相の「最もやりたい政策」である「憲法改正」の実現可能性が、ほぼなくなってしまったことにある。

第110回
筆者は2000年から7年間英国に留学していた。それは、日本で政治改革の結果としての「格差拡大」が社会問題となり始めた時期と重なる。当時、英国社会の中にいながら、日本を外からみて、気になることがあった。

第109回
安保法案の「廃案」を目指す野党の戦術に、落とし穴はないのか。前編に続き、安保法案における野党の具体的な国会戦略を考えてみよう。

第109回
安保法案の国会審議が本格化している。国会論戦では政府側の答弁の粗さが目立ち、勢いに乗る野党は、安保法案の「廃案」を目指して一直線に進んでいるようにみえる。だが、そこに落とし穴はないのだろうか。

第108回
近頃、気になることがある。それは保守層を中心に、報道機関は「国益に反する報道をしないもの、それが世界のスタンダードだ」という考え方が広がっていることである。しかし、それは全く世界の報道機関の実態と異なっている。

第107回
大阪都構想は否決されたが、僅差であったことが示すように大阪府・市に問題があるのは明らかだ。橋下市長は不十分なものであっても、大阪都構想という解決策を市民に提示した。反対派も、責任を持って大阪府・市の問題の解決策を示してもらいたい。

第106回
英国の総選挙は、与党・保守党が28議席増で単独過半数越えの331議席を獲得し、「地滑り的大勝利」となった。勝利の一因は、キャメロン政権が5年間かけて取り組んできた財政再建が土壇場で評価を高めたことである。

第105回
日本では、重要な政治課題が浮上すると、「国民の信を問え」として解散総選挙を求める声が巻き起こる。しかし、日本の問題はむしろ「選挙が多すぎる」ことであるように思える。

第104回
自民党、公明党の連立与党は安保法制を巡る協議を再開させた。だが、自衛隊の海外での活動範囲をできるだけ拡大したい自民党と、それに「歯止め」をかけたい公明党の間にはさまざまな意見の隔たりがあり、激しい対立が続いている。

第103回
中国が主導するアジアインフラ投資銀行に40ヵ国以上が参加を表明している。この流れを生み出したのは3月11日に米国の同盟国として初めて参加表明した英国だが、どのような背景があったのか。

第102回
この連載では、震災・原発事故発生時に「被災者の方々には不謹慎な言い方だが、震災は日本人がこれまで目を背けてきた問題を直視させるきっかけになる」と論じた。4年の節目を機に震災関係の論考を振り返り、今の日本を考える。

第101回
お友達内閣、消えた年金問題、強行採決乱発など、第一次安倍内閣の政権運営はお粗末極まりなかった。だが今、「やりたい政策」を着実に進める安倍首相を見ていると、別の観点から再評価してみたくなる。

第100回
安倍政権が、小中学校の「道徳の時間」を「特別の教科:道徳」(仮称)に格上げして必修化する検討を加速させている。だがこの施策は、学校でのいじめ問題を深刻化させる懸念をはらんでいる。

第99回
今回の日本人人質殺害事件で、日本政府は日本人が今後テロに遭うリスクを、難しい状況の中で最小化できたと考えるべきではないだろうか。そして今後日本と日本人がすべきことはなにか。

第98回
民主党の新代表に岡田克也代表代行が選出された。筆者は岡田新代表に期待している。それは、新代表が民主党結党時からの中心メンバーであり、現在民主党が置かれた難局を、すべて一度経験しているからだ。

第12回
2015年を予想する上で、ポイントは何か。戦後70年の節目、増税再々延期、集団的自衛権、日中関係、原油価格の暴落……。経営者、識者の方々に、15年を読み解くための5つのポイントを挙げてもらった。第12回は、立命館大学政策科学部准教授・上久保誠人氏。

第97回
アベノミクスの化けの皮が剥がれ、「裕福な高齢者」VS「貧しい現役・若者世代」の世代間対立が浮き彫りになってきた。この問題の本丸は「年功序列」「終身雇用」として知られる日本型雇用慣行である。

第96回
総選挙の結果を受けて、安倍首相は憲法改正、安保法制の整備、原発再稼働など「やりたい政策」も信任を得たという認識を示した。だが筆者は、安倍政権が「白紙委任」を得たかのように「やりたい政策」をどんどん実現していくことになるとは思わない。

第95回
最近、「保守」の論客の元気がいい一方で、左派の影は薄い。保守に対抗する存在であるはずの左派陣営には、もう少しがんばってもらいたいものである。そこで今回は左派に「戦略的思考」を提起してみたい。
