井手ゆきえ
第100回
歩くスピードと握力が目安筋トレは脳トレに通ず認知症の発症リスク
米国の小さな町フラミンガムで1948年から継続している国家的調査研究がある。至ってシンプルに「フラミンガム・ハート・スタディ(FHS)」と命名されたこの研究は、循環器分野ではバイブルに匹敵する権威。

第99回
あなたは健康ですか?その答えで、人生が丸わかり自己評価健康状態(self-rated health)
どうやらわれわれの寿命は思った以上に「自己責任」らしい。なにしろ「健康状態は最悪」と自己評価している人は「最高」と自賛する人の3.3倍、死亡リスクが上昇するのだから。

第98回
10年先の薬事承認へ向けて免疫細胞療法の真打ちが登場NKT細胞を用いた免疫療法(Chiba-NKT)
昨年末、千葉大学附属病院から申請されていたNKT細胞を用いた免疫療法(Chiba-NKT)が進行再発非小細胞肺がんを適応として先進医療の承認を受けた。

第97回
発症予備軍ほど効果が大マグネシウムで2型糖尿病を予防
この5月17日からパシフィコ横浜で開かれていた「第55回日本糖尿病学会年次学術集会」で、マグネシウムが2型糖尿病の発症を予防する可能性が示唆された。1961年から続く世界的な疫学調査「福岡県・久山町研究」をベースにした九州大学環境医学分野の研究者らの報告。

第96回
日光浴が免疫力を活性化脚光浴びるビタミンD
人知れず積み上げてきた業績がある日突然、脚光を浴びる。本人は「今更なぜ?」と狐につままれた気分。ビタミンDがまさに今、そんな感じだ。

第95回
米国心臓協会が公式声明歯周病と心疾患は関連なし
歯周病は心血管系疾患を引き起こす──1998年の米国歯周病協会による「Floss or Die(デンタルフロスか死か)」キャンペーン以来の“常識”に、米国心臓協会(AHA)が真っ向から異を唱えた。

第94回
一度でも心臓発作を起こすと、誰もが日常生活に不安を覚えるだろう。自然に心拍数を上げる運動や労作を避けるようになる。いわんやセックスをや。性生活の欠如は心血管疾患がもたらす深刻な「後遺症」で、適応障害やうつ病の引き金になることも珍しくはない。

第93回
新社会人に限らず、新しい環境での緊張がほっと緩む季節。緩む程度なら問題ないが、最近はそのまま反応性(心因性)うつ病を発症するケースもある。

第92回
家庭で血圧を測る習慣を毎年5月17日は“高血圧の日”
毎年5月17日は「高血圧の日」。現在、日本の高血圧患者は約4000万人、うち何らかの治療を受けている患者は、およそ800万人と2割にとどまっている。自覚症状がないだけに「何とかなるさ」派が多数を占めるらしい。

第91回
先月、米バイオ企業のアドバンスド・セル・テクノロジー社があらゆる細胞に変化できるES細胞(胚性幹細胞)から作製した網膜細胞を加齢黄斑変性症で失明しかかった高齢女性2人に移植し、視力を回復させることに成功したとのニュースが大々的に報道された。

第90回
風が吹けば桶屋が……ではないが、欧州心臓学会の機関誌に発表された研究結果によれば「自家用車とテレビの両方を所有していると、非所有者よりも心疾患を起こすリスクが27%上昇する」そうだ。

第89回
バイオ創薬が当たり前になった21世紀。今年はバイオ医薬品の特許切れ後を狙う「バイオシミラー(バイオ後発品)」開発も本格化すると予想される。

第88回
塩分の過剰摂取が血圧の上昇をもたらすのは科学的に証明されている。日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインによる1日の食塩摂取基準は6グラム未満で、「本来はもっと少なくするべき」(循環器専門医)という意見が多い。

第87回
2月4日、冠動脈バイパス手術を受け、東大病院に入院されていた天皇陛下が退院された。術後2週間、人工心肺装置を使わない「オフポンプ手術」の標準的な入院期間で、経過は順調のようだ。後はじっくりリハビリに取り組んでいただければと思う。

第86回
アイスランドではタバコの小売りを法律で禁じたうえ、「ニコチン依存症」の患者には医師の処方下でのみ、喫煙を許そうという動きまであるらしい。そこまで極端ではないが、日本でも喫煙者の肩身は狭い。

第85回
日本人の中途失明原因の第1位は、視神経と網膜の細胞が進行性に死滅し徐々に視野が欠ける「緑内障」という眼病。40代の20人に1人が患っていると推定される。

第84回
抗老化作用があるとして注目されている「レスベラトロール」。赤ワインに含まれるポリフェノールの一種で、線虫、ショウジョウバエを使った実験でも長寿延命効果があると報告され、俄然、世間が注目。製薬企業も抗老化薬の開発に大金を投じている。

第83回
脳腫瘍は診断と治療技術の進歩にもかかわらず予後が厳しいがんの一つだ。外科的手術が有効なのは他の臓器がんと同じだが、問題は「脳」という場所にある。正常組織をできる限り傷つけないように、腫瘍の全摘出を諦めることもあり、当然だが、再発率は高い。

第82回
どうやら健康な食事は健康な精子をつくるらしい。米国、スペインの共同研究報告によると、18~22歳の健康な男性188人の食生活を調査した結果、魚、野菜、全粒穀物中心の食事を心がけている男性は、赤身肉、精製穀物中心の食生活の男性より、精子の運動能力が勝ることがわかった。

第81回
前立腺がんの早期診断に役立つとして前立腺特異抗原(PSA)検査が日本に普及し始めたのは21世紀の声を聞いてからだ。しかし昨年10月、米国政府の予防医学作業部会はすべての年齢の男性に対し「PSA検査は勧められない」との“暫定”勧告を発表した。
