井手ゆきえ
第142回
サプリも適正量を守ってカルシウム過剰と心疾患リスク
米国ほどではないが「疾病予防」「健康増進」目的でサプリメント(サプリ)を愛用する人が増えてきた。昨年公表された厚生労働省のアンケート調査によれば、50代以上の約3割が日常的に健康食品・サプリを利用している。購入時に最も重視するのは、「効能・効果」と「成分含有量」。一方で「安全性」に対する関心は低かった。サプリは無害、というイメージが強いのだろう。

第141回
血管内治療の優位を示せず脳卒中の勝負タイムは4.5時間へ
数年前、急性虚血性脳卒中(脳梗塞)の新たな救世主として話題になった「血管内治療」。脳血管に詰まった血の塊を動脈血管内から機械的に直接取り除いたり、薬で溶かすことで脳血流を再開通させる方法だ。脳卒中発作から6時間以内の治療で、後遺症の改善効果を発揮する。

第140回
入院、死亡リスクが顕著に上昇重症EDは心血管疾患死の指標
勃起不全(ED)の重症度と心血管疾患死は関連する──こんな研究結果がオーストラリアから報告された。EDと心血管疾患との関係は以前から指摘されてきた。米国の世界的疫学研究「フラミンガム・スタディ」でも、ED男性の心血管疾患リスクはNO‐ED男性より40%高いと報告されている。

第139回
血中カロテノイド濃度がポイント野菜、果物で将来も明るい!?
先月ハーバード公衆衛生大学院の「血中カロテノイド濃度が高いほど将来に対して楽観的」という研究結果が米心身医学会の機関誌に報告された。同報告は、今回の調査研究では、およそ1000人の男女を対象に「楽観性尺度」のアンケートを実施。また血液サンプルから血中抗酸化成分の濃度を測定した。

第138回
社会参加や受診機会が奪われるうつ病患者への差別が助長
国内の年間自殺者が15年ぶりに3万人を下回った。原因・動機の分析結果は3月に公表される予定。ただ、毎年の傾向から「うつ病」が他を大きく引き離し、トップに来ることは予想できる。近年は有効率が60~70%以上という心理療法や抗うつ薬が次々に開発されているのに、なぜ歯止めがかけられないのだろうか。

第137回
日系人対象の調査で確認降圧薬でADを予防!?
オアフ島在住の日系人を対象に加齢と疾病との関連を追跡した調査研究がある。第二次世界大戦中に軍人登録した日系人の調査から派生し、1991年に始まる「Honolulu Asia Aging Study」がそれ。これまで、3700人以上の日系男性を対象に追跡調査が行われてきた。死亡例は同意を得た上で、「剖検」を実施している。

第136回
セルフメディケーションは根付くか?医療用高純度EPAが店頭へ
昨年師走28日、脂質異常症・閉塞性動脈硬化症治療薬「エパデール(イコサペント酸エチル)」のスイッチOTCの製造販売が承認された。生活習慣病薬のスイッチは国内初。是非をめぐる審議会では真っ向から反対する日本医師会と、賛同する日本薬剤師会との溝が浮き彫りになった。

第135回
新腫瘍マーカーとなるか?アディポネクチンとがん
アディポネクチン(以下、アディポ)をご存じだろうか。脂肪細胞が分泌するホルモンで筋骨格での糖消費を促進し、インスリン抵抗性を改善するなど抗糖尿病、抗動脈硬化に働く「善玉ホルモン」として知られている。ここ数年は抗がん作用が注目されている。

第134回
1日卵3個が効果的!?コレステ食品の汚名返上か
コレステロール含有量が高い、として脂質異常症患者は「避けるよう」指導されてきた卵。1日1個までと制限されている方も多かろう。ところがある雑誌に載った研究によれば、メタボリック症候群患者の減量食に全卵を加えると、脂質バランスが改善され、インスリン抵抗性が改善されたというのである。

第133回
非力でも、肥満でも前途多難…10代の筋力で寿命が決まる?
青少年の肥満に警鐘を鳴らす研究報告は数々あるが、どうやら「非力」も早死にリスクを高めるらしい。英国医学誌「BMJ」に掲載されたスウェーデンはカロリンスカヤ大学の研究から。

第132回
胃がんを自腹で予防する成功率が高いピロリ除菌療法は?
胃がん発症要因の一つと見なされているヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)。最近は一般にも認識が広まり、除菌療法を受ける人が増えてきた。ところが、ピロリ菌も並行して抗菌薬に対する「耐性」を獲得。除菌失敗例が増えつつある。

第131回
術後の食事に配慮が必要高糖質食は大腸がん再発と関連
最近なにかと旗色が悪い糖質だが、先月、大腸がんの再発と糖質との関連を示すデータが報告された。

第130回
甘いもの、塩辛いもの、脂質etc.寝不足は不健康な食事を誘発
寝不足の身体は不健康な食事を渇望するらしい。研究では、レム睡眠が短いほど空腹感が増し、カロリー摂取量が多くなる傾向が示された。つまり、睡眠不足は「腹が減る」というわけ。

第129回
日本人の喫煙習慣と寿命 死亡率は2倍、命は10年短縮
どうやら日本人でも喫煙習慣で平均10年は寿命が縮むようだ。この数年、日本人のタバコ離れは急速に進み、全男性の喫煙率は35%を割り込んだ。ただし、それを牽引しているのは家計と健康を気にする高齢者である。

第128回
生活習慣が子孫繁栄のカギ?高品質の精子は適度な運動から
欧州の応用生理学の専門誌に報告された研究によると、適度な運動習慣がある男性の精子は高品質らしい。また、精子形成に必要なホルモンバランスも、運動習慣がある男性では良好に保たれていた。

第127回
おなかの健康、だけではありません。腸内細菌で肥満や脳・神経疾患予防
ビフィズス菌、乳酸菌といえば、おなかの健康を保つ「善玉」腸内細菌の代表格。これまでも腸内細菌叢の勢力図が免疫系や代謝機能に影響することは知られていたが、個々の培養が難しく詳細な研究は遅れていた。しかし、「次世代シーケンサー」の登場で俄然、研究が進み始めた。

第126回
妊娠高血圧にご用心子供の認知機能に影響?
妊娠高血圧をご存じだろうか。高齢出産が当たり前の昨今、男性陣にも知ってほしい知識の一つだ。一昔前まで「妊娠中毒症」と呼ばれていたもの。原因はいまだに不明である。

第125回
健康でハットトリック!!降圧、減量、心拍安定の3得点
サッカーシーズンたけなわで夜ごと寝不足のアナタ。どうせ熱狂するなら自分もフィールドに出よう。先月、米国スポーツ医学会の機関誌に報告されたデンマークの研究によると、1週間に2時間のサッカートレーニングを半年続けた結果、血圧改善と減量プラスアルファの効果を達成したのだ。

第124回
高血圧型からメタボ型へ若年層の脳卒中が増えている
秋の健診シーズンもそろそろ終盤へ。中高年男性が予防したい疾患の筆頭は心筋梗塞と脳卒中。脳卒中に関してはどこかに「お年寄りの病気」という気持ちがある。ところが、米国神経学会誌に報告された調査研究によると、近年、脳卒中の発症が若年齢化しているというのだ。

第123回
代表的な降圧剤+αの効果!?米ぬか・ゴマ油で血圧と脂質が改善
高血圧は降圧剤、高コレステロールは脂質異常症治療薬と、検診で黄色信号がともるたびに増える薬。治療薬はターゲットを絞り込んで開発されるのだから、当然ではある。その点、生活習慣や食習慣改善の波及効果は大きい。
