井手ゆきえ
第112回
無視できない「あの音」に認知行動療法で耳鳴り治療
周囲に音源がないのに耳の中や頭の中で音が聴こえる「耳鳴り」。これだけ医学が進歩した今も、根本的な治療法はない。40代ごろから進行する老人性難聴に伴うことが多く、左右対称に「キーン」「シーン」など高音の耳鳴りがする場合は、これの前兆。

第111回
身近な薬に驚きの効果アスピリンでがん予防
柳の抽出液に含まれる天然の消炎鎮痛成分「サリチル酸」が起源のアスピリン。古代ギリシャの医学の父、ヒポクラテスも処方した由緒ある薬だ。消炎鎮痛薬としておなじみだが、医療現場では心筋梗塞や脳卒中の発症要因となる血栓形成を抑える薬としても使われている。

第110回
通勤距離と腹回りの関係は?片道16km以上で健康リスク
遠距離通勤のストレスで健康を損なうのは、ギュウ詰めの電車で運ばれる日本特有の現象と思っていたが実はそうでもないらしい。米国の予防医学専門誌によると、自動車通勤であっても片道10マイル以上の通勤は血圧を上げ、15マイル以上になると体重と腹囲が上昇するという。

第109回
延べ40万人、13年間で実証コーヒー4~5杯で寿命が伸びる!?
先日、米国立がん研究所から延べ40万人の男女を13年間(最長14年)追跡した調査結果が発表された。テーマは「コーヒーと死亡率」。

第108回
ロング缶1本で死亡リスク低下心筋梗塞生還後の適量は?
初発の心筋梗塞を生き延びた男性医療従事者、延べ2000人余りを20年間追跡した米国からの報告によると、生涯最初の心筋梗塞発作から無事に生還した男性は「適量」の飲酒を心がけたほうが、その後の生存率がいいらしい。

第107回
糖尿病の予防に効果的なのは?筋トレ vs 有酸素運動
そろそろ秋の検診シーズン。残暑が遠のくとともに「脱メタボ」を目指して運動を始める人も多いだろう。ウオーキングなどの有酸素運動の効用は誰しも認めるところだが、続かないのが難点。ただ、肝心の疾病予防効果については有酸素運動の「補完」程度の認識だった。

第106回
6時間未満と8時間以上は危険睡眠時間で心疾患を予防?
年齢とともに眠りの質が悪くなった、とはよく聞く話。しかし、英米で行われた「生活の質(QOL)」に関する二つの調査研究によると、むしろ加齢とともに精神状態が安定し、ぐっすり眠れるようになるらしい。

第105回
その「おかわり」が危険です白米食べるほど、2型糖尿病に!?
白いご飯がないと物足りない人には少し厳しい話かもしれない。先日、英医学雑誌の「BMJ」に「白米の消費量が増えるほど2型糖尿病の発症リスクが上昇する」という結果が掲載された。

第104回
がんがアルツハイマー病を予防!?喫煙関連がんでリスクが74%低下
先月、英医学雑誌「BMJ」に興味深い論文が載った。米フラミンガム・スタディからの報告。それによると、がん経験者は健康な人よりもアルツハイマー病を発症するリスクが33%減少し、しかも喫煙が関係するがんの生還者では、74%も(!)リスクが減る、というのだ。

第103回
管理職、専門職は命がけバブル後に死亡率が急上昇
昨年の自殺者は3万0651人に上り、14年連続して3万人を超えた。特に震災後の5月に急増、前月との比較では年代別で30代が44%、職業別では「被雇用者・勤め人」が40%増加した。動機、原因別では男性の「経済・生活問題」が27%増だった。

第102回
この数年は新薬ラッシュ尿からの糖排泄促進薬も糖尿病治療薬
現在、全世界の糖尿病患者は2億5000万人。しかも毎年、700万人(10秒に1人)が新たに糖尿病を発症、このままでいくと2025年には患者数が3億8000万人を超えると予想されている。

第101回
あの手この手で薬を配送マイクロチップやDNAロボットもドラッグ・デリバリー・システム
先月、米国の学術誌に一つの臨床試験結果が報告された。閉経後骨粗鬆症の女性の皮膚の下に、骨量の増減に関連するヒト副甲状腺ホルモンを封入したマイクロチップを埋め込み、双方向のワイヤレス通信で1日1回、薬剤を放出。試験参加に同意した8人全員で新しい骨をつくる動きが促進されたという。

第100回
歩くスピードと握力が目安筋トレは脳トレに通ず認知症の発症リスク
米国の小さな町フラミンガムで1948年から継続している国家的調査研究がある。至ってシンプルに「フラミンガム・ハート・スタディ(FHS)」と命名されたこの研究は、循環器分野ではバイブルに匹敵する権威。

第99回
あなたは健康ですか?その答えで、人生が丸わかり自己評価健康状態(self-rated health)
どうやらわれわれの寿命は思った以上に「自己責任」らしい。なにしろ「健康状態は最悪」と自己評価している人は「最高」と自賛する人の3.3倍、死亡リスクが上昇するのだから。

第98回
10年先の薬事承認へ向けて免疫細胞療法の真打ちが登場NKT細胞を用いた免疫療法(Chiba-NKT)
昨年末、千葉大学附属病院から申請されていたNKT細胞を用いた免疫療法(Chiba-NKT)が進行再発非小細胞肺がんを適応として先進医療の承認を受けた。

第97回
発症予備軍ほど効果が大マグネシウムで2型糖尿病を予防
この5月17日からパシフィコ横浜で開かれていた「第55回日本糖尿病学会年次学術集会」で、マグネシウムが2型糖尿病の発症を予防する可能性が示唆された。1961年から続く世界的な疫学調査「福岡県・久山町研究」をベースにした九州大学環境医学分野の研究者らの報告。

第96回
日光浴が免疫力を活性化脚光浴びるビタミンD
人知れず積み上げてきた業績がある日突然、脚光を浴びる。本人は「今更なぜ?」と狐につままれた気分。ビタミンDがまさに今、そんな感じだ。

第95回
米国心臓協会が公式声明歯周病と心疾患は関連なし
歯周病は心血管系疾患を引き起こす──1998年の米国歯周病協会による「Floss or Die(デンタルフロスか死か)」キャンペーン以来の“常識”に、米国心臓協会(AHA)が真っ向から異を唱えた。

第94回
一度でも心臓発作を起こすと、誰もが日常生活に不安を覚えるだろう。自然に心拍数を上げる運動や労作を避けるようになる。いわんやセックスをや。性生活の欠如は心血管疾患がもたらす深刻な「後遺症」で、適応障害やうつ病の引き金になることも珍しくはない。

第93回
新社会人に限らず、新しい環境での緊張がほっと緩む季節。緩む程度なら問題ないが、最近はそのまま反応性(心因性)うつ病を発症するケースもある。
