
莫 邦富
第205回
GW中は長旅をしない主義を貫いている。その代わりSNSに中国人の郷愁を一身に集めるB級グルメの王「油条」の話を書いた。日本のマックが「油条」を「チュロス」として発売するというニュースも加わり、SNS上で食文化談義が大いに盛り上がった。

第204回
4月中旬に大阪造幣局の「桜の通り抜け」を訪れた。通り抜け通路自体は規制が厳しいが、外の通路は露店・夜店がひしめき合い、花見の客は大いに盛り上がっていた。多くの人は学ぶべきは東京と思いがちだが、東京もこういう大阪を学んだらどうだろうか。

第203回
日本的サービスの低下を指摘した先週のコラムは、大きな反響を呼んだ。日中関係が悪いこの時期にと心配したが、ネット上の意見は日中ともに成熟したものが多く、私の心配は見事に解消された。

第202回
26年ぶりにドイツから従妹が来日したので、一観光客として関西を旅した。そこで数々のショッキングな出来事を体験した。それは日本のサービスのレベルが崩壊しつつあるのではないかと感じさせるものばかりだった。

第201回
花見に出かけてもつい課題を捜すのはジャーナリストの性か。地元は東京の墨田区で花見に出かけて、隅田川の美しさを十分に生かし切れていない現実を感じた。一工夫すれば、もっと多くに人々の心を掴めるはずだ。

第200回
我が家が入るタワーマンションの地下にあった高級路線のスーパーが撤退した。代わって出店したのは庶民路線のスーパー。その混雑ぶりを見ていると、地域や国を問わず、小売業にとって消費力の的確な判断がいかに重要かを、改めて思い知らされた。

第199回
上海で夕食終えタクシーを拾おうとすると、友人の一人が携帯のアプリを立ち上げて、タクシーを呼んだ。5分ほどでやってきたタクシーに乗り込み、私は運転手さんに猛然とタクシー呼び出しソフトのメリット・デメリットの取材を始めた。

第198回
山梨県甲府盆地の東に笛吹市がある。そこは春になると、あたり一面、桃の花に覆い尽くされる。だが「桜」という強力なライバルが存在する。そこで私は観光客のターゲットとして、桃の花に強い思いを寄せる在日中国人に訴えかけたらと提案した。

第197回
仕事の下見で、清流が美しいことを自慢する山里のレストランを再訪した。そこで給仕してくれた若い女性スタッフのもてなしに感動を覚えた。次に訪れた時は、たまたま一社員の個人的な対応の仕方なのか、会社全体の接客スタイルなのかを、ぜひ聞いてみたい。

第196回
地方都市が抱える債務が大変だということはかなり知られている。だが、中国の専門家の分析によれば、北京、上海、天津、重慶、蘇州、広州といった名だたる大都市も過剰な債務を抱えている。これも中国経済を脅かす主要問題の一部だと言えよう。

第195回
上海の浦東空港でタクシーに乗ったところ、運転手が道を間違えた。「彼女」は安徽省の出身だったからだ。このように中国では労働者の不足が深刻となっている。近い将来、中国は労働者輸出国から輸入国に転じるだろうと思われる。

第194回
今年の元宵節では、中国の伝統芸能である「皮影戯」が、各所で上演された。すたれかけた伝統芸能の復活は、中国が鉄鋼や自動車の生産数量などハード一辺倒から歴史、文化、伝統を重んじる方向へ舵を切り替え始めたことを示している。

第193回
文化大革命時代、農村に下放された私たち百四十数人の若者のうち7人は独学を続け、やがて大学、専門学校に進むことができた。今の北京にも同じような若者がいる。違いは苦学の末に手に入れた成功を捨て、社会人教育に身を投じたことだ。

第192回
中国の子どもにとって春節の楽しみは「圧歳銭」と呼ばれるお年玉。この圧歳銭を入れる赤い封筒が「紅包」。中国版SNSである微信を運営する騰訊がネット版「紅包」サービス開始したが、これが大ヒット。春節の風景を大きく変えつつある。

第191回
米国の大手化粧品メーカー・レブロンが中国名を「露華濃」とネーミングしたとき、そのうまさに脱帽した。が、そのレブロンが中国から撤退するという。一方、花王は中国企業と組むことで、中国事業の黒字化にめどをつけた。両者の教訓は重い。

第190回
昨年、見て感動した中国映画を紹介したい。なぜこれらの映画に関心をもったのかというと、中国国民がどこに関心を寄せているのかを読みとることができるからだ。中国社会を知りたいなら、こうした映画を見るという方法もある。

第189回
揚子江の北の地域は蘇北地方と呼ばれ、貧困の代名詞のように思われていた。だが、新年早々訪れた蘇北地方にある都市・塩城はいまや起亜自動車の城下町に生まれ変わっていた。

第188回
昨年、私をもっとも感動させた映像が、北京国貿センターのフードコートで行われたフラッシュモブを写したもの。そこにはかつて東京、シンガポール、香港、台北で観察し、あこがれた中産階級が主流の成熟した社会の姿があった。

第187回
中国では今、ある若い女性経営者が話題になっている。一販売員から身を起こし、会社の危機を救って創業者の神話的存在を守り抜いた。中国企業急成長の原動力は、若い人材を抜擢し育成し、苦労と成功を経験させることあると言えるだろう。

第186回
メディアが中国の設定した防空識別圏の問題で賑わっていた時、私は中国のネットに出ていたある写真に関心を奪われた。写真の屋台には何と「寿司」の文字。中日の食は互いに深く浸透している。私がfacebookに葱油餅の話題をあげると、これまた大きな反響があった。
