 
    森信茂樹
第39回
      
      
      いよいよ総選挙が始まる。今回の選挙は2つのことを見極めることが重要だ。第1がそれぞれの政党の主張する政策の本質であり、第2が主張を実現させていく政策遂行能力だ。今回は経済財政政策を中心に検討してみたい。
      
    
第38回
      
      
      民主党政権に残された時間は少ない。マニフェストに掲げられた歳出削減は、全く手つかずに終わった。民主再生の道は「ポピュリズム歳出削減」から脱却し、国民が音を上げるような歳出削減を実行することにある。
      
    
第37回
      
      
      復興予算の「目的外使用」に対する批判が巻き起こっているが、問題は予算編成の仕組みそのものにある。最初に総額を決めるやり方は、どうしても無駄が生じる。再発を防ぐには予算編成のあり方を、事後評価中心に変えることが必要だ。
      
    
第36回
      
      
      特例公債法が政治のチキンゲームの標的になっている。このまま年末を迎えれば、さまざまな「混乱」が起こるだろう。ここに至れば、混乱を経験することが、逆にわが国の政治にとって大きな「資産」になるかもしれない。
      
    
第35回
      
      
      大阪維新の会の政策のうち、税制に的を絞って検証してみたい。特色のある政策は、第1に資産課税の強化、2番目に負の所得税とベーシックインカム、3番目にフラット・タックス、4番目に消費税の地方税化の4つである。今回は1と2に重点を置いて論じたい。
      
    
第34回
      
      
      「ばらまき政策」と言うと、歳出措置に目が行きがちだが、実は歳入措置(税制)にもばらまきがある。予算書がないため気づきにくいだけだ。消費税における軽減税率の導入は、歳入面における究極のばらまき政策だと言える。
      
    
第33回
      
      
      消費税増税法案が成立したことは素直に評価したい。だが、財政再建はこれからが正念場だ。注目すべきは、平成25年度予算ではなく、今平成24年度の補正予算だ。総選挙も控えた政治情勢を考えると、究極のばらまき補正となる可能性があり要注意だ。
      
    
第32回
      
      
      大阪維新の会が改訂版「船中八策」で「地方交付税の廃止」と「地方間財政調整制度」を打ち出した。その方向性は正しいが、実現性には大きな疑問が残る。より現実的な方法は、地方消費税を独立させることだ。
      
    
第31回
      
      
      消費税増税法案の3党協議の結果、社会保障の改革部分は基本的に先送りにされたと言われる。だが、社会保障制度改革国民会議をうまく活用すれば、将来の政界再編につながることが期待できる。国家の規模を巡る対立軸が設定されることは、国民にとっても望ましい。
      
    
第30回
      
      
      消費税引き上げを含む社会保障・税一体改革に関して、自公民が修正合意に達したこと、「決められない政治」からの脱却として評価できる。次の課題は消費税引き上げの環境が整うように、政府に縦割り行政を超える司令塔を作り、経済を活性化する道を拓くことだ。
      
    
第29回
      
      
      日本の大手ネット業者が海外拠点からサービス提供を検討していると報じられた。我が国の消費税は海外からの商品・サービスの購入に対しては不課税扱いだからだ。この問題は対応で先行しているEUなどを参考に、早めに準備しじっくりと考えるべき課題である。
      
    
第28回
      
      
      民主党の年金改革議論は、公的年金制度に偏り過ぎている。世界の流れを見ると、国家は個人の自助による老後の備えに対して、税制優遇を与えるという政策に変わってきている。日本でも誰もが加入できる新たな個人型の年金制度を創設すべきだ。
      
    
第27回
      
      
      政治家の間から消費税の逆進性対策として、給付付き税額控除ではなく軽減税率を採用すべきだとの議論が起こっている。理由はクロヨンの存在。だが、逆進性対策として本来有効な制度ではあるが導入すべきではない、という考え方は敗北主義だ。
      
    
第26回
      
      
      4月11日に行われた党首討論で、みんなの党の渡辺喜美代表は、消費税を地方財源にするよう訴えた。だが、消費税は地方財源にはふさわしくない。道州制・地方分権にふさわしい税源は所得税(住民税)と固定資産税だ。その理由を述べてみよう。
      
    
第25回
      
      
      橋下徹市長率いる大阪維新の会が「船中八策」で、フラット・タックスを掲げたのには驚いた。同税は経済活性化と簡素性という意味で大変優れた税制だが、前提となる政府の規模と所得再分配をどうするかを明らかにしなければ、「机上の空論」に終わる。
      
    
第24回
      
      
      消費増税反対論の1つに“益税”の存在を指摘する声が強い。簡単な試算をしてみると、巷間言われているように兆円単位の益税が存在するわけではない。しかし、益税は存在することも確か。その原因は簡易課税制度にある。
      
    
第23回
      
      
      一部の議員や学者から、消費税を引き上げると税収が落ち込むという議論が出ている。しかし、この認識は間違っている。国の税収が落ちた主因は、論理なき減税と地方への税源移譲にある。議論は正確な事実関係に基づいて行う必要だ。
      
    
第22回
      
      
      社会福祉法人と宗教法人に対する課税が甘い。民間と競合する事業を行っているのに税率が優遇されていたり、収益事業・非収益事業の区分が難しいからだ。その是正の道を考えてみよう。
      
    
第21回
      
      
      日本には260万法人があるが、その7割が赤字法人だ。そのカギを握るのが、「法人成り」と「2重控除」。民主党政権はこの優遇策を見直すと言ったものの、その約束はいまだ果たされていない。
      
    
第20回
      
      
      国民が社会保障・税一体改革を受け入れるためには、既得権益への優遇をなくすことが必要だ。だが、医師優遇税制は会計検査院が指摘したのもかかわらず、財務省・税制調査会そして厚労省はいずれもこれを無視してしまった。
      
    