
高嶋哲夫
第50回
ダラスとの交渉
森嶋は行き着く陸のない沖に向かって泳ぎ始めるレミングの大群を思った。森嶋は一瞬考えた後、携帯電話を出してボタンを押した。それはインターナショナル・リンクCEOのダラスの番号だった。森嶋はダラスに会うため、理沙と2人でタクシーに乗り込んだ――。

第49回
日本崩壊への秒読み
森嶋は、現在の状況を正確に把握するため理沙に強引に面会を求めた。理沙は、銀行や証券会社、機関投資家、個人の資産家をターゲットにした新たなサイバー攻撃があった事実を告げる。さらに理沙は、声を潜めて意外なことを口にするのだった――。

第48回
最悪のスパイラル
森嶋が携帯にでると高脇の声が飛び込んできた。巨大地震が起こるという情報の出所は自分ではないと言って高脇は電話を切った。森嶋は何らかの手がかりを得ようと理沙に電話をする。理沙は、ロバートなら何か知っているはずだとアドバイスする――。

第47回
巨大地震迫る
早朝、森嶋は優美子からの電話で起こされた。テレビをつけると、「巨大地震迫る」という書き込みが広がっているとニュースで騒いでいる。役所に行くと、書き込みの話題で持ちきり。日経平均と円が下がり、都銀と郵便局前に長い行列ができているという――。

第46回
カンフル剤
総理は殿塚に首都移転への協力を要請し、快諾を得る。一方、森嶋が自宅に帰ろうとすると、理沙が待ち構えていた。総理が殿塚と会ったという情報を入手し、森嶋に探りを入れにきたのだ。理沙があれこれ質問を浴びせていると、またも地震が起こる――。

第45回
高脇の予告
森嶋の携帯が鳴った。着信画面を見ると行方をくらましていた高脇からだった。高脇は明日正午に重大発表があるので聞くようにと告げ電話を切る。一方、能田総理は首都移転について野党に根回しするため、国会内で殿塚と合うことに――。

第44回
デフォルト
ロバートの言葉が脳裏を離れない森嶋は、昼休みに優美子を誘いだす。デフォルトが起こったら日本がどうなるかを聞くためだ。「破綻する銀行も出てくる。企業倒産は倍増するでしょう。日本中がパニックになる」――。優美子はゆっくりと話し始めた。

第43回
中国の狙い
殿塚との会合の後、帰宅した森嶋。そこへまたロバートが訪ねて来た。中国から戻ってきたのだ。中国が日本のメガバンクである東友銀行の株を大量に買っているとロバート。そして資金の出所は中国政府で裏も取ってあるという――。

第42回
殿塚との密談
森嶋と村津は、自由党の殿塚と密談するため渋谷の居酒屋に行く。村津は総理は首都移転を前向きに考えていると殿塚に話す。3人は首都移転と道州制について、突っ込んだ打ち合わせをした。殿塚と別れたあと、村津は意外なことを口にする。

第41回
生き残る道
ユニバーサル・ファンドが3段階格下げされた日本国債を買い漁っているという報告を受けた総理。彼らはすでに数十兆円を保有しているという。今ごろ買ってどうするのか。総理は誰にともなく言ったが、誰も答える者はいなかった。

第40回
暴落の糸口
理沙が森嶋に電話をかけてきた。ユニバーサル・ファンドが日本国債を2兆円買い付けたという。彼らが所有する日本国債はこれで32兆円に。何かを企んでいるらしい。しかし一つのファンドで数十兆円も資金を用意できるものなのか。森嶋は訝る――。

第39回
3人の大臣
森嶋の話は2時間に及んだ。最前列の3人の大臣は時折りメモを取りながら、熱心に聞いていた。話が終わり、村津と大臣たちが出ていくと、森嶋の周りに部屋中の者が集まってきた。3人の大臣が来たことで、首都移転チームの雰囲気はガラリと変わった――。

第38回
3段階降格
朝のニュースは日本国債の3段階降格の話題が中心だった。森嶋が首都移転チームの部屋に行くと優美子が寄ってきた。森嶋は昨日ロバートに会ったと話した。しばらくすると村津と遠山、そして国交大臣、財務大臣、総務大臣が部屋に入ってきた――。

第37回
神の怒り
森嶋は村津と別れて自宅へ向かう。マンションの前まで来たとき、向かいのコーヒーショップから女が飛び出してきた。理沙だった。理沙はインターナショナル・リンクが日本国債の格付けを3段階引き下げたことについて、森嶋を問い詰める。森嶋は理沙を自室に誘った――。

第36回
すべてのわざには時がある
森嶋は室山と玉井、村津の3人が首都移転と道州制について話すのを半ば唖然として聞いていた。同時に一抹の危うさも感じた。室山と玉井が帰ったあと、森嶋と村津は仕事があるという早苗を残して、長谷川設計事務所を出て歩き始めた――。

第35回
偉大な道楽
2人の男は、国内最大のゼネコンとIT企業のトップ。首都移転を成功させるためのキーマンだった。村津は数日中に政府から首都移転が正式発表されるだろうという。そして、森嶋に関係業界と政府をつなぐ窓口になってほしいと依頼する――。

第34回
2人の男
森嶋とロバートは東京に戻った。ロバートは急きょ、中国へ行くことになりホテルで森嶋と別れた。森嶋がタクシーに乗ると村津から電話があり呼び出される。六本木の長谷川設計事務所へ行くと、そこで2人の経営者が待っていた――。

第33回
地震に弱い都市
ロバートに連れられ森嶋は葉山の屋敷に行く。そこでは5人の男が待っていた。その中の1人はインターナショナル・リンクCEOのビクター・ダラスだった。ダラスは東京が災害に弱い都市だと指摘し、日本国債の格付けを下げるつもりだという――。

第32回
インターナショナル・リンク
ジョン・ハンターとアルバート・ロッジの2人はフロント前からいなくなった。ロバートは森嶋をドライブに誘い、大使館の車に乗り込む。2人を乗せた車は首都高速から湾岸道路へと進んだ。向かった先の葉山で森嶋を待っていたのは――。

第31回
クレジット・デフォルト・スワップ
ロバートは、ヘッジファンドとウォール街が日本に対して「倒産保険」をかけており、それを狙って世界のマネーが動き出していると森嶋に警告する。日本という一つの国を相手に、本当にそんなことができるのか。森嶋は半信半疑だった。
