
伊藤元重
第37回
安倍内閣が産業競争力会議を通じて進めるミクロレベルでの政策を積み上げたとき、日本経済がマクロでどのような成長を実現するのか、議論が尽くされていない。マクロとミクロを突き合わせて、全体としてどのような成長イメージとなるか明らかにしていく必要がある。

第36回
財政赤字のこれ以上の膨張を防ぐために、公共事業への民間企業の参入が議論になっている。空港・水道・道路など、これまで公的セクターが全面的に運営していた分野に、積極的に民間の資金や知恵を導入していくことで、サービス向上と官民連携のシナジー効果が期待できる。

第35回
アベノミクスへの批判勢力のターゲットは、三本目の矢である「成長戦略」の実現性に向かっている。しかし結論を出すのはまだ早い。そして、成長戦略には規制緩和を中心とした供給側の改革とともに、景気をよくするという需要側の改善も重要になる。

第34回
安倍内閣の経済政策における当面の最大の目標は、デフレ脱却である。ただし金融や財政政策だけで経済の持続的な拡大を実現するのが難しい。規制緩和や市場開放を進めていくことでサプライサイドからの成長力が高まり、成長を続けられる。

第33回
2020年の東京五輪開催は、さまざまな企業にとって「自分の会社はオリンピックまでに何をやるのか」という課題を与えた。実際に多くの企業や組織で、五輪に向けたプロジェクトが動き出そうとしている。そしてその動きは、観光や不動産、家電業界などを中心に広がりをみせる。

第32回
安倍内閣が大都市で進めようとしている大型の規制改革特区は、日本の成長戦略にとって極めて重要な役割を担う。なぜなら、大都市が国際的な競争力をつけなければ、国全体がグローバル化する世界から取り残されてしまうからだ。

第31回
アベノミクスの三本目の矢である成長戦略にとって、民間投資を呼び込む大きなテーマが「電力システム改革」だ。原発事故でエネルギー政策への考え方が大きく変わるなか、首都圏を中心とした電力ビジネスへの投資を促すための電力制度改革が求められている。

第30回
アベノミクスの二本の矢は上々の結果をもたらしており、人々の関心はますます「第三の矢」である成長戦略に向いている。カギを握るのは、企業が投資に積極的な「肉食系」となるような成長戦略である。

第29回
消費増税論議の中で法人税率引き下げの議論が正面に出てきた。法人税率の引き下げは企業だけを優遇するものではない。重要な鍵は、企業業績への影響であり、もう一つは課税ベースを広げるか否かという問題である。

第28回
国債価格暴落のリスク言われながら、いまだにそれは起こらない。だが、そうした形ではなく、時間をかけて大国が衰退していくという道もあり得る。それをもたらすのは、国民の社会保障に対する過度な期待ではないだろうか。

第27回
国際空港としての羽田空港の利用拡大が、日本経済の活性化にとって大きなカギになる。それを実現するうえで、オリンピック開催は絶好のチャンスである。一方の成田空港も、アジアのハブとしてLCCの活用などの対抗策を考えるべきだ。

第26回
オリンピック開催を日本の経済再生の「第4の矢」としていくためには、東京のインフラの老朽化対策を行いながら集積化を高め、交通インフラの再整備と大胆な規制改革が求められる。2020年を期限に、各種の制度改革が進められることを願う。

第25回
TPP反対派の意見には、マクロの問題を無視して、ミクロの論点だけを強調する議論に終始することがあまりに多い。TPPは日本全体にとってどういう影響があるのかという、マクロの議論をもっとすべきだ。

第24回
消費税増税が実施されるか、延期かについて注目が集まるが、もし消費税増税が見送られた場合、現在の低い国債の金利が一転して急上昇するという意見がある。その根拠には「合理的なバブルと、その崩壊」という考え方がある。

第23回
消費税の増税は所得の低い国民を苦しめ、一方で法人税を減税することは大企業を優遇するもの、という議論があるが、これは経済がまるでわかっていないと自ら言っているのに等しい。経済は複雑な体系であり、それほど単純でない。

第22回
経済成長と消費税引き上げが政府の計画通りに進んでも、2020年までに財政健全化を実現することは困難とみられている。さらなる歳出の削減と歳入の増加を考えるうえで、消費税を10%以上に引き上げる検討は避けられない。

第21回
安倍総理は、消費税率を来年4月に予定どおり引き上げるか、それとも先送りあるいはより小刻みな引き上げという修正をするか、今秋には決断するとしており、大きな注目が集まっている。ポイントは、「デフレ脱却と消費税率引き上げの両立」である。

第20回
経済成長を考えるうえで、労働や資本が増え続けて成長を維持したという事例はあまりない。カギを握るのは、成長が見込まれる分野への大胆な労働の移動である。具体的には、3つの労働再編が考えられる。

第19回
経済成長とは、中長期のトレンドの話である。景気刺激策によってGDPを引き上げ、一時的に成長率を高めても、持続的な成長にはならない。資本投資、技術革新、効率的な資源配分などで供給力を高めることで、はじめて持続的な成長が実現する。

第18回
アベノミクスの効果を判断するうえで、金利の動きが非常に重要になってきた。しかし、世の中の議論には名目金利と実質金利を混同したものが多い。金利について、今後何が起きようとしているのかを正確に判断する必要がある。
