
校條 浩
第12回
シリコンバレーの成長を支え「シリコンバレーを作った25人」の一人といわれる、レジス・マッケンナとの出会いは1990年代中ごろだった。彼の誘いで、彼のコンサルティング会社に入ったことがきっかけで、私は日本企業への新事業創造に関わるコンサルティングを始めることとなった。何度も一緒に日本に出張し、その時間を独り占めできたのはとても幸運なことだったと思う。

第11回
私の会社は、シリコンバレーのスタートアップやベンチャーキャピタル(VC)と関わりながら、企業への新事業創造のコンサルティングをしている。私のビジネスパートナーは、シリコンバレーの発展と共に歩んできた人物で、リチャード・メルモンという。

第10回
ある大手日本企業の現地法人が、シリコンバレーの有力者たちを集めてイベントを催した。テーマは、「シリコンバレーコミュニティーとの連携」。その現地法人の日本人社長は英語のスピーチの中で「エイリアン」という言葉を繰り返した。エイリアン(alien)とは「異邦人、異星人、(招かれざる)外国人」を指す言葉だ。どうやら日本人社長は、アライアンス(alliance:同盟)という言葉を「エイリアン」と発音していたらしい。

第9回
事業創造には、帰納法的アプローチと演繹法的アプローチがあることは前回述べた。多くの既存企業は帰納法的アプローチを取っている。顧客を観察することから共通のニーズを理解することが基本だ。一方、ベンチャー企業、とりわけスタートアップと呼ばれる急成長する企業は、演繹法的アプローチを取る。仮説に基づいて潜在ニーズを想像し、事業設計するのである。既存企業が思いも寄らない事業を展開することにより大きな成功が期待できる一方で、失敗の確率が高い。

第8回
「携帯電話の顧客が一番嫌うのは、電池が切れることだ」「日本の携帯ユーザーはテンキーで日本語入力するのでQWERTYキーボード(パソコン配列のキーボード)は要らないはずだ」米アップルがiPhoneを発表したときの日本企業やメディアの反応はこのようなものだった。だから、「iPhoneは日本では売れない」と結論づけていた。

第7回
今後、フィンテックの影響力が増す上で、既存の金融機関はどう対処すべきか。「世界経済フォーラム」で調査・研究をしてきたジェシー・マクウォータース氏の来日を機に、校條浩氏が対談した。

第6回
「東証がITシステムに初採用した『謎の米ベンチャー企業』の正体」といった内容の記事が今年9月、「週刊ダイヤモンド」に掲載された。東京証券取引所という日本経済の中心舞台で、情報システムが次世代へ更改されるに当たり、その技術基盤が日本を代表するIT企業の手から米国企業に渡った。しかも、その米IT企業は、創業10年そこそこの「謎のベンチャー企業」だというものだ。

第5回
最近よく耳にする「FinTech(フィンテック)」という言葉だが、その本質は意外によく分からない。今から20年ほど前、米国で初めてATM(現金自動預払機)を開発したという人物にお会いする機会があった。

第4回
昨今、米国のベンチャーキャピタル(VC)への出資を検討する日本企業が増えてきている。それ自体は意味があるのだが、そのときに気になるのが、「わが社は投資リターンを求めていない。あくまでVCから新事業情報を得るのが目的だ」という経営トップの発言だ。

第3回
日本企業の間で再びシリコンバレーブームが起きており、企業のトップや経営幹部の訪問が急増している。しかし、「まだ明確な戦略や事業案がないので、まずはいろいろ教えてほしい」というのがその多くの本音のようだ。そのため、現地企業への「表敬訪問」が相次いでいる。

第2回
2017年6月29日、この日、発売から10年を迎えた製品がある。たった10年で人々の生活シーンを変え、開発した会社を時価総額80兆円規模と世界一価値のある企業へと押し上げた。世界を変えたともいえる製品、それが米アップルのiPhoneである。

第1回
今、再び米国シリコンバレーに注目が集まっているが、その真の姿は知られていない。現地に25年以上在住し、現在も投資家として活躍する“インサイダー”である筆者に、その生態系を多角的に説き明かしてもらう。

第11回
IoTの波はあらゆる分野の企業に広がっている。これからの20年は、IoTが新産業創出のドライビングフォースとなるに違いない。今までの新しいIT革命が生活の基盤となり、その対象が今度は「モノ」にまで広がる。

第10回
今、金融システムがITにより本質的に変革する時代を迎えようとしている。モバイル、クラウド、ソーシャルネットワークによりITの質と量が臨界レベルを超え、その存在が空気のように人間の活動、そしてそれを支える産業の骨組みの基本となってくる。

第9回
トーマス・フリードマンが著した“The World is Flat”という本がベストセラーとなったのはちょうど10年前のことだ。ITの飛躍的発展によりインドや中国がグローバル規模での競争力を持つようになる、というものだ。そして今、いよいよすべての産業で「世界がフラット」になりつつある。その推進力(そして破壊力)がIoTなのである。

第8回
現代の車は多くのコンピュータで制御されており、ソフトウェアの重要性は高まるばかりだ。しかし、パソコンのソフトやスマートフォンのアプリのアップデートのように、ネットと通じて自動的に行われるようにはなっていない。それはなぜか。

第7回
IoTは、インターネット、ソフトウェアやサービスの発想からモノを巻き込んでいく。一方、ハード系企業はまずはモノにセンサーや通信チップを埋めることから発想してしまい、そこで思考が止まってしまう。ベンチャー投資家の視点でIoTを考える眼を持つにはどうすればよいかを解説する。

第6回
IoTでは、異なるメーカーの機器が連動し、異なるサービス提供者同士のデータが相互利用されることが重要だ。そのための共通プラットフォームの構築が進んでいる。エンドユーザーの目にはなかなか見えにくいプラットフォーム分野で進む、ハイテク企業間の先陣争いをまとめる。

第5回
IoTが過熱化してきた。新技術・新産業が普及・勃興する時に必ず通る“Hype”(過熱した人気)フェーズにさしかかっている。歩数計、血圧計、腕時計、環境モニター、セキュリティーカメラ、空調用サーモスタット、洗濯機から電球に至るまで、何でもネットにつながりつつある。

第4回
IoTの普及の鍵を握る基盤技術のひとつが半導体だ。専門用語が多くとかく分かりにくい半導体だが、その基本トレンドを理解することは、IoTによる産業革新を図ろうとする経営トップや経営幹部にとって重要なことだ。
