脳の焦点化の原則
ここで「脳の焦点化の原則」について紹介します。
「脳の焦点化の原則」とは、無意識のうちにある情報が心の中に入ってきてしまう状態のことです。これは「カクテルパーティー効果」などを使って説明することができます。
「カクテルパーティー効果」とは、さまざまな雑音がある状況で、必要な情報をきちんと選別できることを言います。
1953年に心理学者のチェリーが提唱し、「カクテルパーティーに参加しているときに周囲が騒がしくても、自分の名前や知人の声を聞き分けられる」ことから、「カクテルパーティー効果」と呼ばれています。
自分の名前や知人の名前に焦点が当たっているから、雑音の中でも聞き取れるのです。
営業活動においても、目標達成に焦点が当たっていれば、それに関する情報をとらえることができるようになります。
ですから夢を持っている人、目標に焦点が当たっている人には、よい出会いが訪れます。
優れた実業家の自伝を読むと「私の実力ではありません。運よく、素晴らしい出会いに恵まれた」「いろいろな人に助けられただけで、結局のところ私は何もしていない」などと書かれていることがよくあります。
しかし、それを額面どおりに受けとってはいけません。ただ謙遜されているだけです。
ラッキーが起きたのは、彼らが自分自身の5年後、10年後、20年後のあるべき姿を明確に思い描き、目標にしっかりと焦点を当てていたからです。たまたま運がよかったのではなく、成功する人というのは出会いやチャンスをご自身の力で引き寄せているのです。
部下と一緒にお客様を訪問したとき、あなたはお客様と話をしていて、「ここがポイントだ。キーワードだ」とわかるのに、肝心の部下はまったく気づいていない、という経験はないでしょうか?
帰り道、「あの部長、いいことを言っていたな。あの会社はこう攻めるとうまく行くかもしれない」と話しかけても、部下は「いやあ、全然気がつきませんでした」と答えます。そして、「さすがですね。やっぱり知識と経験の差ですね」と感心します。
しかし、その気づきを経験と知識の差だと思うのは大きな勘違いです。
潜在意識が「目標予算を達成させる」ことに焦点を当てているかどうかの違いでしかありません。あなたは焦点が当たっているから、有益な情報を識別できるのです。
「できる営業」は、どのような業界で営業をさせても、どのような規模の企業に入っても結果を出します。目標予算を達成させてしまうのです。それが自分の仕事だと腹に落ちているから、そのような結果を引き寄せるのです。
ところが「こんな目標数字なんか達成できるわけない」と思っていると、お客様とどんなに話をしても、有益な情報をもらっても、まったく入ってきません。気づかないのです。
そして数字をつくることができないのは自分の責任ではなく、業界や商材や自分の知識不足のせいにしてしまうのです。
目標達成を当たり前に思い、焦点を当てることがいかに大切か、おわかりいただけるでしょう。