「企業理念」に合致しているかどうか?
第三のポイントは、「企業理念」との整合性です。
どんなに利益に貢献し、実現可能性があっても、それだけでは足りません。意思決定とは「ある目標を達成するために、複数の選択可能な代替的手段の中から最適なものを選ぶこと」(『大辞林』三省堂)ですが、企業における究極の「目標」とは、企業理念をおいてほかにはないからです。
企業には、「利益を出す」「顧客を創造する」「事業を継続する」「ブランドを向上する」などさまざまな目標がありますが、それらは究極の目標ではありません。「利益を出す」のも、「顧客を創造する」のも、あくまで「企業理念」を実現するための手段にすぎません。だから、企業における意思決定の根幹には、常に「企業理念」が存在していなければならないのです(下図)。
これはきわめて重要なポイントです。ソフトバンクは「情報革命で人々を幸せに」という理念を掲げていますから、単に「儲かる」というだけではGOサインは出すことはできません。「情報革命に資するか?」「人々を幸せにするか?」というポイントをクリアしていることが、意思決定における絶対条件でなければならないのです。
ですから、マネジャー自身が意思決定する際に「企業理念に合致しているか?」という判断基準を堅持するとともに、随時、会議の場でも共有するように努める必要があるのです。
ここまで述べてきた「3つのポイント」の重要性は、常にメンバーと共有するようにしなければなりません。その結果、提案書の作成にもムダがなくなるとともに、ディスカッションの水準が上がり、スピーディな意思決定が実現するようになります。
また、上層部の決裁を必要とする場合には、これらのポイントを外した提案は差し戻される可能性が極めて高いでしょう。そのようなことがあれば、再提案するためにメンバーに負荷をかけることになりますから、チームの会議において、これらの点は必ずチェックすることをおすすめします。