「MyAnalytics」で「時間の使い方」を可視化し改善、生産性向上へ
さらに、誰と一緒が多いか、誰とあまり接触していないかというデータも出てくる。身近な人ばかりでなく、もっと広くコネクションを持ったほうがいいという気づきになる。メールも、チームのメンバーが読んだか、返答したか、シェアしたか、などもわかる。メールがうまく機能していないとなれば、他の方策を考える必要がある。
そして最も興味深いのは、ではどう改善すればいいのか、AIがアドバイスをくれることだ。膨大なビッグデータをベースにして、自分の仕事のどこに問題があるのか、AIが毎週、勝手に指摘してくれるのである。
「この会議ではよく内職をしていたので、開催者の××に確認を取るように、なんてことを言われます。人から言われるのではなく、AIからのコメントですから、妙に納得してしまうところがあります(笑)」
日本マイクロソフトでは、昨年4部門40人が4ヵ月にわたって実証実験を行ったが、効果はテキメンだったそうだ。
「会議は真っ先に効率化を図れました。これは出席しなくてもいいのでは、ということが言いやすくなりました。AIが指摘している、と(笑)。コミュニケーションも、メールに偏り過ぎ、誰々に偏り過ぎ、ということが見えたり。自分の仕事について考えるフォーカス時間が短いということで、正々堂々とプランニングの時間をスケジュールに入れられるようにもなりましたね」
数字に換算すると、4ヵ月間の4部門40名の合計で約3600時間の削減。残業時間と位置づけ、残業代として試算すると、日本マイクロソフトと同規模の社員2000人の会社として、1年間で約7億円もの削減効果に値する結果が出たという。
そしてこれは、基本的に上司が管理するものではなく、本人が働き方の改善に役立てるツールである、というところがポイントだ。
「数字的な効果もさることながら、見える化をすることで、社内やチームで話し合いをする風土ができあがってきたという印象があります。もっとこうしたほうがいいというQCサークル的な活動が、ボトムアップで進んできたことが大きな成果だと思います」
MyAnalyticsにはすでに多くの企業が強い関心を持っており、活用が進んでいるという。
(この原稿は書籍『マイクロソフト 再始動する最強企業』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)