グロービス・キャピタル・パートナーズで数多くのベンチャーを支援してきた高宮慎一氏と、著者であるチャン・キム教授(INSEAD)に任じられ『ブルー・オーシャン・シフト』の日本企業ケースを執筆したムーギー・キム氏の対談中編。前編では、ブルー・オーシャン・シフトの特徴である、価値提供の軸をずらした新市場の創出について議論した。中編では、組織が新しいことに取り組む際に何が障壁になるのか。そして、障壁を乗り越え、ブルー・オーシャンを泳ぎ続けるために何が必要なのかについて、意見を交わす(構成:肱岡彩)。

「尊重された」と感じなければ、人は動かない

高宮慎一
グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)代表パートナー
GCPではインターネット領域の投資を担当。GCP参画前は、戦略コンサルティング会社アーサー・D・リトルにて、ITサービス企業に対する事業戦略、新規事業戦略、イノベーション戦略立案などを主導。東京大学経済学部卒(卒論特選論文受賞)、ハーバード大学MBA(二年次優秀賞)。
投資担当先には、アイスタイル(東証3660)、カヤック(東証3904)、ピクスタ(東証3416)、メルカリ(4385)、ナナピ(KDDIグループ入り)、ランサーズ、ビーバー、リブルー、ミラティブなどがある。

高宮:新しいことをやろうというのは、言うは易しなんですよね。当然、組織とか事業の慣性があるわけです。それを振り切って新しいことをするって、相当難しいんですよね。

ムーギー:皆が皆、新しい事業に乗り気なわけではなく、しがらみがあったり、既存事業と競合したりもしますからね。

高宮:ブルー・オーシャンへシフトするための方法論や分析手法も重要だと思うんですよね。でも、より重要なのは、ブルー・オーシャンへシフトしようとしている企業で、「シフトするぞ」という機運を醸成するために、いかに組織全体、個々のメンバーを巻き込むかという部分ですよね。

ムーギー:まさしく仰るように、日本企業の大きな課題が、何でブルー・オーシャン・シフトできないのかということなんですよね。著者のチャン・キム氏の元にも『ブルー・オーシャン戦略』の刊行後に、そういった悩みが多く寄せられたようで。
 だから、今回の『ブルー・オーシャン・シフト』では、“初期から自分も巻き込まれて尊重された、と感じなければ人は動かない”という、人間的要素のマネジメントの重要さを重点的に議論しているんです。特に伝統的大企業だと、「おれはその話、聞いてないぞ!」という理由だけで大反対する重鎮の方々、多いですもんね(笑)