「感情」と「ロジック」を結び付ける

――「idea Picnic」では、いきなり「すごいアイデアを出せ」と言われるのではなく、課題に対して不満を言いまくるところから入るのも、入りやすいポイントですね。

風間 そう、それは重要なポイントですよね。中沢くんが昔、「不満はクリエイティブ」と言っていて、本当にそうだなと思いました。今はネガティブなことは否定されがちですが、文句や不満はすなわち課題に対する「観点」ですから。

中沢 何かに対して不満だと思ったり、もっとこうできないかなと考えることって、実は新しいものの見方を提示しているんですよね。たとえば、「朝ごはんを食べたいのに食べられてない」という問題に対して、「朝は時間がないから」「お金がないから」「作るのが面倒くさいから」とか、いくらでも不満は言えますよが、これは「時間」「金銭」「手間」という分析観点になっているわけです。

――しかも、不満を言うって、なんか楽しいですしね(笑)。

中沢 そう、ワークショップではみんな笑いながら不満や文句を言いまくって、さらにそれをひっくり返す。なので、ネガティブなことを言っていてもネガティブな雰囲気にならずに楽しく観点出しができます。不満自体が悪いわけではなくて、不満のクリエイティブなところだけアイデア出しにつなげる、というふうに「idea Picnic」はできているのだと思います。

――それに、最初に不満や文句から入ることで、その後で出てくるアイデア自体も、頭で考えただけでなく、感情のこもった、血の通ったアイデアになりそうですね。

風間 そうですね。たとえば、「この市場は前年比16%で伸びております。このままいくと市場シェア◯%が空き地になっております」といった形で説明することがあると思いますが、それだと一見説明できているようでいても、じゃあ何をやるのか、というところで結局前に進めないこともよくありますし、そもそも感情がこもっていなければ、ユーザーの心に響くサービスや商品が生まれるとは思えない。

中沢 仕事でロジカルに考えることと、ふだんの個人の感情はつながっていないことが多いと思うんですが、うまくつなげてやると、実は自分自身の感情も課題解決のヒントになるのだと思います。
 そして、「idea Picnic」ではそれができると思うんです。「idea Picnic」は一見、感情のままにアイデアを出しているように見えるのですが、実は、ロジカルシンキングでよく言われる「分析観点をたくさん出せ」「多様な切り口で物事を考えろ」ということをやっているんです。

「多様な切り口を出せ」と言われても感情は沸き起こらないけれど、「文句を言いまくって」と言われると感情が揺さぶられて思わず答えてしまう。「朝時間がなくても大丈夫ってどういうこと?」「何があれば、朝時間があることになる?」と問いかけられると、本人はロジカルに考えているつもりはなくても、アウトプットはロジカルに考えたのと同じものが出てくる。表の顔は感情的、裏の顔はロジカルというのがこの「idea Picnic」の特徴かもしれません。問いかける言葉を変えることで、感情とロジックをつないでいるんですね。

風間 コンサルティングだと「なぜ」を5回繰り返せとか言われますよね? でも5回繰り返せって言われるともう責められてる気がする(笑)。

 中沢くんと、あるお菓子メーカーさんでidea Picnicを実施したときのことをよく覚えているんですが、あるお菓子のシリーズについて、担当の方たちは、もう、そのお菓子でやれることはやりつくしていて、新しい企画を考えるのがすごくつらかったそうなんです。ところが、「idea Picnic」をやったあと、「ああ、アイデアを出すのって、やっぱり楽しいですね」って言われたんです。こういう仕掛けさえあれば、もっともっとアイデアが出る、そのプロセスができたというのはとても画期的なことだと思いますね。

【後編に続く】