「僕らが常識だと思っていたことは、実はそうでない」
未来を生きるエストニアの人たちが教えてくれること

 日本の社会では、場所の制約に縛られ、組織の制約に縛られ、時間の制約に縛られ、何か新しいことをやろうと思っても身動きが取れない。そう感じている人が少なくありません。少子高齢化や低成長の経済、将来への不安……理由はたくさんあるでしょうが、何かに抑圧され、組織も個人もどんどん縮こまっている、そんな感覚があるはずです。

 ですが、それは僕たちの思い込みに過ぎません。

「やれないだって? そんなことはないよ。僕たちはもっと自由なはずだ。自らを解放し、やりたいことを軽やかに実現すればいいのだよ」

 エストニアは、自らの世界観を提示することによって、このように問い掛けてくるのです。実際にエストニア人と交流を重ねれば、気づくことでしょう。僕らが常識だと思っていたことが、実はそうでないことを。「何だ、縮こまる必要なんてない」、そして、「僕たちはもっと自由になれる」ということを。何より、「つまらない」と思っていた社会を僕らが変えられるということを――。

 エストニアを知ることで、これからの個人と社会と国家の新しい関係について、そして新しい経済の仕組みが見えてきます。これこそが「つまらなくない未来」の1つです。本書では、僕の気づいたことの一端をお伝えしたいと思います。

「行政サービスの99%が年中無休で利用できる」ということが持つ意義、仮想住民を募るエストニアから見える将来の社会像、そしてスマートコントラクトで働き方や評価がどう変わるかなど、孫泰蔵さんがエストニアの何に、なぜ関心を寄せているのかについては、ぜひ本書で確認してください。本稿では特別に、孫泰蔵さんも「つまらなくない未来」を感じたというエストニアの若き起業家たちの“声”をお届けします。