調べた結果、設計者は温度の変化を想定していなかったことが明らかになる。当然、なぜ温度変化を想定しなかったのかという疑問が湧く。これが5回目の「なぜ?」。調べてみると、設計者に現場での使われ方が十分に伝わっていなかったことがわかる。
ここまでで「なぜ?」は5回。この5回目の「なぜ?」によって、ライン停止という現象に対する真の原因がつかめる。すなわち、「設計部門に、部品切削ラインに関する現場の情報が十分に伝わっていなかったことがそもそもの原因」ということになる。
ライン停止の真の原因はここでわかったことになるが、「なぜ?」は現実にはここでは終わらない。
このあとも「なぜ?」は続く。「なぜ現場の重要な情報が伝わっていなかったのか」「なぜ設計者は現場での使い方を十分に考慮しなかったのか」といった具合だ。
このように掘り下げていくと、社内のコミュニケーションや部署間の情報共有の問題など、他のケースに応用できる場合も出てくる。
したがって、トヨタの一人ひとりが「なぜ?」という掘り下げを常に行っていれば、問題の発生を未然に防ぐこともできるし、会社全体の効率アップ、生産性向上に大いに役立つことになる。