開成・麻布・灘・筑波大駒場・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、保護者から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの学習メソッドが凝縮された最新刊『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「男の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。

社会の「複雑さ」に疑問を持たせる

 2018年度の開成中学の入試では、国語の長文問題に、こんな一家が登場しました。

 大黒柱として働いているのは、バリバリのキャリアウーマンであるお母さん。お父さんは売れない画家で主夫。でも、デイトレードで少しお金も儲けている。子どもたちの幼稚園の送り迎えはお父さんの役割で、先生やママ友とも楽しそうにやっている。それを見て疎外感を感じ、「このままでいいのか」と悩むお母さん。それでも、それが我が家のあり方だという結論にいたる。

 キャリアウーマンが主人公で、「主夫」「デイトレード」「ママ友」といった現代社会を象徴するキーワードがてんこ盛りです。

 しかし、実際に開成中学を受験する子どもの家庭を考えてみると、父親はたいていエリートです。母親がキャリアウーマンである確率は高いかもしれませんが、少なくとも、父親が売れない画家で主夫をしているケースなど、ほとんどないはずです。それを学校側はよくわかった上で出題しています。

 つまり、ここでは、日頃接する機会の少ない人々の気持ちをいかに文章から読み取ることができるかが問われているのです。社会性、大人力を問われていると言い換えてもいいでしょう。

 いじめ問題にしても、これまでは「いじめはいけない」という文脈が理解できればよかったのですが、これからは、その原因をつくりだす社会現象にまで広く目を向けられる子どもが求められているわけです。

 生活保護、難民、LGBT、ブラック企業、インスタ疲れ……、ほかにもいろいろ考えられますが、こうした社会的テーマがどんどん取り上げられるようになっていきます。しかし、男の子は自分の興味のあることにしか思考を向けませんから、日々の会話の中で、親が意識的に話題にしてください。

 あるいは、社会的テーマを扱った漫画を与えるのもいいでしょう。東大生の読書歴を調べると、彼らは漫画も非常によく読んでいますし、開成中学に合格した子どもたちへのアンケート調査では、読んでいた本の3位に『宇宙兄弟』が入っています。そのほか、『インベスターZ』『健康で文化的な最低限度の生活』などもすすめたいところです。