保険代理店の課題の一つに人材の採用難がある。仮に社員を採用できたとしても、しばらくすると辞めてしまう――。無論、代理店に限った話ではないが、多くの経営者にとって身につまされる話だろう。では、これらの課題をクリアした会社は何をやっているのか。第2部に登壇した、働き方改革の先進企業として知られるサイボウズの青野慶久社長の話からひもといてみよう。
【第2部】特別対談 離職率28%から国内シェアナンバーワンへ。
●コーディネーター:永井伸一郎氏
新卒で代理店研修制度を卒業後、保険代理店を営む傍らレース活動に従事。2度にわたってJAF全日本選手権シリーズチャンピオンを獲得。dii[ディー]代表取締役。
●登壇者:青野慶久氏
1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科を卒業後、松下電工(現パナソニック)入社。97年8月に愛媛県松山市にてサイボウズを設立。2005年代表取締役社長に就任。社内のワークスタイルの変革を行い、自らも3児の父として3度の育児休暇を取得。総務省や内閣府などの働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーなどを務める。
サイボウズといえば、企業や組織内のコミュニケーションを支援するグループソフトウエア(業務共有ツール)の開発会社。今では8万社が同社のソフトウエアを利用する、国内シェアナンバーワンの東証1部上場企業だ。
一般に、こうしたシステム開発会社の労働環境は良いとは言い難い。残業に次ぐ残業に加え、徹夜仕事もざらというのが通説だ。ご多分に漏れず、サイボウズもかつては劣悪な労働環境にあった。「社長に就任直後の2005年には、成果主義が行き過ぎて離職率が28%を超えてしまいました」と青野氏。つまり、1年後には社員の4人に1人が退職する状態だったわけだ。
「社員が辞めれば採用広告を出して、面接を行い、教育しなければなりません。でも、半年ほどして戦力になったと思った途端、4人に1人が辞めていくんです」