動画に広告が入ることは
問題ない

 では、企業の場合はどうすべきでしょうか。
 先ほど、拡散を考えるなら有料チャンネルよりも無料チャンネルのほうがいいと述べたので、「Googleアドセンスは外したほうがいいのではないか」と思われるかもしれませんが、実はGoogleアドセンスを導入しても、拡散の面においてほとんど支障はありません。

 というのも、Googleアドセンスが原因でユーザーが離脱することはほとんどないからです。
 ユーザーはタイトルを見て「おもしろそうだな」と思ってクリックしています。動画の本編再生前に広告動画が入ることで煩わしさを感じたとしても、気になっている本編を見ずに終わるということはしません。

 もしユーザーを待たせたくないのであれば、動画広告をスキップ可能にすることもできるので、そのように設定をしておきましょう。

 一言でGoogleアドセンスと言っても、いろいろな種類があります。
 動画の前後に入る動画広告や、画面の周辺に表示されるディスプレイ広告、再生中の動画の画面下部に入るオーバーレイ広告。いずれも効果を比較して確かめながら導入するといいでしょう。これら全部を入れて収益性を高めるという戦略もありだと思います。

広告単価を知っておく

 Googleアドセンスを導入する上で押さえておくべきポイントは、広告単価を知っておくことです。
 Googleアドセンスは、広告の種類によって、または動画の長さによって、広告単価が変わってきます。どの種類がいいのか、どのくらいの長さがいいのかは、そのときの仕様によります。10分以上で単価が上がるのであれば、10分の動画をつくったほうが収益性はよくなりますが、長いと見られにくいというデメリットもあるので、A/Bテスト(詳しくは第2回第4回記事を参照)を繰り返して制作面でも収益面でもちょうどいい長さを見つけることが大切です。

 実際に、ほとんどの企業はGoogleアドセンスを利用しています
 広告収入で制作費をまかなうのは簡単ではありませんが、Googleアドセンスに関しては導入することのデメリットは少ないので、ぜひ検討してみてください。

 ちなみに人気YouTuberらが多数所属するUUUM(ウーム)も、売り上げの中で最も多いのはアドセンス収益です。UUUMは人気クリエイターのグッズ販売やイベント開催、ファンクラブの運営などを手がける会社で、そのビジネスモデルはMCN(マルチチャンネルネットワーク)と呼ばれています。
 UUUMは2017年8月に東証マザーズに上場し、市場でもその存在感を見せています。

 今は小さな収益でも、いずれ大きくなる可能性があるので、Googleアドセンスの導入はぜひ検討してみてください。

※次回は動画や配信の「トレンド」についてお伝えします。