具体的にはイメージセンシング技術、3D技術、色域拡大技術、伝送技術、光学解析技術などを医療事業でも活用。世界最多44色以上の超多色細胞解析ができる新製品などが展示された。
ソニーが医療事業へ本格的に参入したのは、社内にメディカルビジネスグループが誕生した2012年。前後するが10年にライフサイエンス分野の米ベンチャー、アイサイトを買収。13年には消化器内視鏡で世界1位のオリンパスと共同出資会社「ソニー・オリンパスメディカルソリューションズ(SOMED)」(資本構成ソニー51%、オリンパス49%)を設立し、外科手術用内視鏡システム、手術用顕微鏡システムを上市した。
ソニーの医療事業は現在、メディカルイメージング領域とライフサイエンス領域の2本柱。前者の売上高の半分ほどが医療機器(海外のみ承認の物を含む)。後者は製薬会社などの研究開発現場で使われる機器を展開し、こちらも将来は臨床の現場で使われる医療機器に化けていく可能性を秘める。
ソニーが本格参入当初に宣言していた「医療事業で20年に2000億円」という売上高目標は、17年に撤回した。大高グループ長は「読みが正直甘かった」と振り返り、「(ソニーが得意とする)エンターテインメント分野とは違い、医療は現場の切実なアンメットニーズに対応する製品を作らないといけない。製造プロセスに時間がかかった」と解説する。
ソニーが再設定した目標は非公表だが、18年度に医療事業が初めて黒字に転換するなど、順調に成長しているという。
世界を見れば激動の医療機器業界
世界の大手医療機器メーカーは、この10年ほどで業界再編が一気に進んでいる。
UBS証券の小池幸弘アナリストによると、合併の事業シナジーがほとんどないことが特徴で、それでも再編が進む背景には、世界最大市場である米国で販路に変化が起きていることにある。