これまでの商談は主にメーカーと病院が個別に行っていたが、病院側が連合体を組むことが増えて、価格交渉などがシビアに。メーカー側は合併による製品の品ぞろえで、「デパートメントショップ化」を図り、対抗しているという。

 業界再編の流れに、現在国内大手のオリンパス、テルモ、HOYA、キヤノンなどが呑まれる可能性はどうか。

 小池アナリストは「5年ぐらいはないのでは。言い換えれば5年ぐらいしか猶予はない」とみる。国内勢はニッチな領域、あるいは診断系に強いため、欧米勢と比べて安定した売上高成長をしてきたが、「ハードだけでは技術革新の余地はそれほど残されておらず、ソフトを含めた複合的な提案力がますます重要となる」と小池アナリストは指摘する。

 国内大手医療機器メーカーと比べ、医療事業への本格参入から日が浅いソニーは、「10年後を見込んだ仕込み中」(吉田憲一郎社長兼CEO〈最高経営責任者〉)。だが首尾よく成長して国内大手の一角と位置付けられたとしても、その頃には業界再編の波が国内にも押し寄せている恐れがある。

 ソニー関係者は、「医療事業に活用されている要素技術はソニー本体と不可分なので売却は考えにくい」と言う。むしろ、ソニーの医療事業が他社を呑みこんでいく可能性を示唆する。

 ゲーム、音楽、半導体など、好調な事業が生み出す潤沢なキャッシュフローがソニーにはある。5年後の国内医療機器業界で、ソニーが台風の目になっているかもしれない。