すぐれた「社会性」が女の子を疲れさせている

 生後間もない赤ん坊について調べた研究から、男の子と女の子では「目で追う対象」に違いがあることがわかっています。

 男の子が「モノ」を追うのに対し、女の子は「人」に関心を示します。おそらく、私たちの遠い祖先の生活様式に、その理由があるのではないかと思います。

 文明社会を迎える前の人類は、狩猟と採集で暮らしていました。男たちが狩りに出かけている間に、女たちは木の実などを集め、かつ子育てをしながら集落を守っていました。

 女の子が生まれながらにして人に興味を持つのは、集落を守るには人々とのコミュニケーションが不可欠だったからでしょう。

 コミュニケーション能力に長けているのは素晴らしいことなのですが、ときに、それが自分で自分を疲れさせてしまうことにつながります。

 仕事で女性が失敗したとき、自分の評価が下がることより「周囲に迷惑をかけたこと」をつらいと感じるといいます。これも、「自分が属するコミュニティを守ろう」とする女性ならではの感覚です。

 小学生の女の子も同様です。親の期待や周囲との関係など、さまざまなものを女の子は幼くして背負っています。そして、その重さに潰されかけています。

 女の子には、もっと周囲に対する「鈍感力」を育んであげる必要があると、私は思っています。