人口減少に伴い、伝統的な建設事業だけでは将来が先細りするのは確実。大手ゼネコンらは、不動産事業の強化や再生可能エネルギー関連事業など新たな収益柱を模索している。中堅ゼネコンの中にも、とがった技術を持つ専門工事業者と資本提携するなど、従来の事業・協力体制・既存顧客に頼り切ってはいられないことを意識しているところが多い。

 新たな収益柱をコンセッション事業で模索するか、これまで通り請負業で稼ぐか。建設と道路の経営方針の違いがぶつかっている。

 19年3月期連結売上高は道路が2238億円、建設が4921億円。単純合算すると売上高7000億円規模になり、準大手ゼネコン首位の長谷工コーポレーションの背中が目前に見えてくる。もっとも、前田建設幹部は「規模を追いかける時代はバブル期で終わった」とその意図は否定する。

 建設は道路株購入にあたり、1株当たりの買い付け価格を3950円と設定した。これは、公開買い付け実施を公表した20日の前の営業日の終値の株価2633円に対して50%のプレミアムを加えている。

 公開買い付けをすれば、のれん代が建設の負担になる。前田建設幹部は「ネガティブインパクトは毎年80億~100億円くらいで、最低5年間は償却に時間を要する。貸借対照表が膨張することで銀行が融資の際の格付けランクを下げる懸念だってある」とリスクを自覚しつつも将来の成長のためには必要なTOBであると強調する。

 アクティビストに狙われるという大きなリスクを前に、創業家がコントロールできる組織にグループを統一していたほうが経営判断を下しやすいという判断は、道路の上場廃止へと向かう可能性まであるかもしれない。