「会社に縛られないお金」があれば
自由に生きられる

「会社に縛られないお金」という言葉を知るよりもずっと早く、私はそれが必要だとわかっていました。

 私の記憶が正しければ、この言葉は、ジェームズ・クラベルの『ノーブル・ハウス』という小説で初めて目にしました。小説を読んだそのときから、私の目標は「会社に縛られないお金」だと明確に定まりました。

 小説では、若い女性が「会社に縛られないお金」の獲得を目指していました。それは、彼女が誰の要求からも自由でいられて、自分の望みどおりの人生を送るのに十分なお金を意味しています。彼女の目標は1000万ドル。

 私から見れば、経済的自立に必要な金額よりもずっと大きな金額です。経済的自立とは、お金を稼ぐことであると同時に、控えめに生きることでもあると気づきました。

 小説と異なり、「会社に縛られないお金」は一生過ごすのに必要なお金だとは考えていません。しばらくの間、仕事から遠ざかれるだけのお金があれば十分という場合もあります。

 私が最初に「会社に縛られないお金」を手に入れたのは25歳のときです。なんとか5000ドルという大金を貯めました。大学を出たあと、職業と呼べる仕事に初めて就き、最低賃金で2年間働きました。その5000ドルは、年俸1万ドルで2年間働いた結果です。

 しかし、私はそこで旅に出たくなりました。何ヵ月かヨーロッパを放浪したくなったのです。しばらく休職したいと上司に相談しましたが、そんなことは珍しかった頃で、上司は認めませんでした。労働条件を交渉することなど思いもよらない時代でした。休暇を願い出ても、雇用主がダメだと言えば、それで終わりです。

 仕事自体は希望どおりのものでしたし、次の仕事を見つけるのはとても難しいとは思いましたが、私は1週間考え抜き、仕事を辞めることにしました。とにかくヨーロッパに行きたかったのです。

 すると、風向きが変わりました。上司が「慌てて決めないで。オーナーと話してみるよ」と言いました。騒ぎが収まってみると、私は6週間の休暇を勝ち取り、自転車でアイルランドとウェールズを旅することになったのです。