「男の子」の脳の発達にフォーカスした科学的な学習法

 さらに、本書のタイトルにあるとおり、私は「性差」にフォーカスして子どもたちを伸ばしています。

 このジェンダーフリーの時代に性差などと言えば、「もしや、差別主義者なのでは」と警戒されるかもしれませんが、間違ってもそんなことはありません。私は、男の子も女の子も、その可能性を最大限に活かし、自由で豊かな発想ができる人物になってほしいと願っています。そして、そのためには性差に着目した学習が大きな効果を上げると、経験上確信しているのです。

 もちろん、経験論だけで判断しているのではありません。脳科学の専門的研究で、女の子は右脳と左脳が早くからバランス良く育つのに対し、男の子は右脳ばかり先に発達し、左脳は遅れることがわかっています。

 言語能力を司る左脳の発達が遅れた男の子が、なかなか国語の長文読解をできないのは当たり前なのです。

 大人になれば、男も女もそれぞれ苦手分野をカバーできますが、脳が成長途上である子どもたちには、その影響が大きく出ます。それを無視して教えようとしたら、子どもたちに余計な負荷がかかるだけでなく、学習効果も半減します。

 もちろん、脳科学的にも性格上も、女の子っぽい男の子もいるし、男の子っぽい女の子もいます。実際に、大人になってからも男性の約15%が女性脳を持ち、女性の約10%が男性脳を持っているといわれています。おそらく、子どもたちにも、同じような傾向が見られるはずです。

 だから、男の子の親御さんに姉妹版である『女の子の学力の伸ばし方』を読んでいただくことも、女の子の親御さんに本書を読んでいただくことも大歓迎です。要は、「その子らしさ」に合わせた学習をしていただきたいのです。