絵画はこちらのリンク、または、書籍『13歳からのアート思考』をご覧ください。
Vassily Kandinsky, 1913 - Composition 7.jpgBy Wassily Kandinsky, Public Domain, Link

「どこから/そこからどう思う?」の問いで深める

いかがでしょうか? ここまでの授業でアートのとらえ方が少し変化してきたみなさんでも、「この絵になにが描かれているのか?」という質問には「う~ん?」と首をひねってしまったのではないかと思います。

一刻も早くスッキリとしたい気持ちだと思いますが、こういうときこそ、まずは自分の目で作品をよく見る「アウトプット鑑賞」をしてみましょう。

ここまでの授業でだいぶ慣れてきたと思いますので、ここでは「アウトプット鑑賞」をもう一段面白くするための秘訣をご紹介しましょう。作品を見て出てきた「アウトプット」に対して、とてもシンプルな2つの問いかけを自分でぶつけてみるのです。

・どこからそう思う?──主観的に感じた「意見」の根拠となる「事実」を問う
・そこからどう思う?──作品内の「事実」から主観的に感じた「意見」を問う

たとえば、《コンポジションⅦ》を見て、「うるさい感じがする」というアウトプットが出てきたとします。これは、作品を見たあなたが主観的に抱いた「意見」です。せっかく出てきたアウトプットをここで終わらせてしまうのはもったいないですよね。

そんなときは「どこからそう思う?」と自分に問いかけます。すると、「所狭しと形が描かれているからかな。どの形も見慣れないものだな」というように、新たな気づきが生まれます。こうして根拠となる「事実」をアウトプットすることで、自分の「意見」がどこから生まれたのかを、はっきりと意識できるようになります。

「そこからどう思う?」については逆の手順です。たとえば「多くの色が使われている」という「事実」に気づいたら、せっかくですから素通りせずに「そこからどう思う?」と自分に問いかけてみましょう。

そうすると、「賑やかな感じがするから、元気が出そうだな」という感想が生まれてくるかもしれません。これはあなたが主観的に感じた「意見」であり、あなたなりの「ものの見方」に基づいてアウトプットした「自分なりの答え」です。

「感じた意見」に対しては「発見した事実」を、そして逆に、「事実」に対しては「意見」をアウトプットするというのが、基本的なルールです。

もちろん、全部のアウトプットに対して、問いかける必要はまったくありません。アウトプットに詰まったときには、この秘訣を試してみてください。新たな気づきが生まれたり、「自分なりの答え」が見えてきたりしますよ。

それでは、「2つの問いかけ」を意識しながら、《コンポジションⅦ》の「アウトプット鑑賞」をしていきましょう。