オーナーヘルプ制度は使用不可
手洗いと消毒しかアドバイスしない本部
セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)本部は、加盟店の人手不足対策として、オーナー自身が休暇を取るための「オーナーヘルプ制度」を昨年から拡充していると訴える。しかし、オーナーがOFCと呼ばれる本部の店舗指導員にこの制度の利用について尋ねたところ、冠婚葬祭などでオーナーが休むための仕組みであり、今の状況でこの制度は使えないと告げられたという。いざとなれば、OFCが自らシフトに入って対応すると応じられたが、まだOFCにシフトに入るよう頼んではいない。
「本部から言われるのは、消毒や手洗いの徹底だけ。新型肺炎や、政府や行政の対策による人手不足についてはなんら支援が示されない」とオーナーは憤る。従業員不足に関する本部側からの聞き取り調査もない。担当OFCからも人手不足に関する助言はなく、オーナーから苦境を訴えると、「シフトは空いてますか? どんな感じですか?」と聞いてくる程度だったという。
休校で従業員を十分に確保できない状況は、他の店舗でも発生している可能性が高い。このオーナーの場合は深夜勤務の従業員を確保しているが、深夜の従業員を日中のシフトに振り向けて対応しようとすれば、逆に深夜の営業が難しくなるだろう。本部は表向き、時短営業をするかどうかは加盟店の判断としているが、実際には現場の本部社員がさまざまな理由をつけて時短営業をさせないという事態が生じている。未知の感染症の拡大という非常事態にあって、柔軟な営業時間が認められる保証はない。
昨年、負担に耐えかねた加盟店の“反乱”で明るみに出たコンビニ業界の構図。政府の要請もあってSEJを始めとしたコンビニ各社本部は改善に取り組む姿勢を強調している。新型コロナウイルスという危機的な状況に直面した今、加盟店支援の本気度が改めて問われている。