複線化に適した管理会計のアップデート

朝倉:次に4つ目のポイント、「内部管理」について考えてみましょう。主に財務面ですね。

村上:スタートアップの中には、粗利率が高いビジネスに取り組み、「固定費をいつまでに回収する」といった考え方でビジネスプランを立てている会社が少なくないと思います。事業を複線化すると、この固定費が見えづらくなります。

営業・開発リソースをどちらの事業にかけているのかが把握しづらいので、人件費が知らぬ間に肥大化してしまう。効率が悪くなっているのに原因が見えず、打ち手が遅れてしまう。PDCAがうまく回らない。こういったことが起きてしまいがちです。

小林:シングルプロダクトの時は、何かを切り分けるという意味での管理はほぼないと思うんですよね。営業は営業、開発は開発といった形で、機能に分かれていても全体のエコノミクスは把握できます。

一方で、事業を複線化するとそこが見えづらくなるため、実態として既存・新規のどちらにリソースやコストをかけているのかを、より細分化して管理する必要があるのだと思います。

朝倉:きちんと見える化する仕組みを整えて、どの事業にどういった優先順位で取り組んでいくのかを決めるということですね。