何が日本人の問題かというと、とにかく考えすぎること。
考えすぎて動けない(徳重)
徳重 さっきの話で、5億、10億で上場して終わりっていうのは、どう考えてもちょっと残念で、そこは僕らの責任だとも思っていますけど。やっぱりメルカリが出て、だいぶ起業家の目線が上がったというのはあるんですけど、でも、メルカリでもUKは撤退したし、アメリカも苦労されてるじゃないですか。やっぱり新産業領域で、世界で圧倒的に勝つという事例を出せば、また見える空気が変わると思うんですよね。それを僕らはやっぱりやりたいなと思ってます。そういう意味で、僕らは今非常にいいポジションにいるのかなと。出れば変わるはずなんですよ。それが出ないと、どうしても日本人は、難しく考え過ぎちゃうところがありますから。
斎藤 そうですよね。メルカリが成功して、1兆円目指す会社って前より増えたと思うんですよ。あと、注目しているのは、25歳ぐらいの起業家の人たちって、けっこうユニコーンを実際に見ているから、「俺たちもやろう」っていう人もけっこう増えてきています。1兆円企業をほんとにつくるんだって思っている人の母数が増えれば、あとは確率論なのかなと。
田所 25歳前後で、勢いのある起業家いますか? タイミーとか?
斎藤 そうですね、タイミーもそうだし、COCONとかも頑張ってるし。けっこういますよ。20代前半ぐらいで何十億か集めた会社、結構出てますよ。成功するか失敗するかはあるでしょうけど、でも、失敗してももう一回チャレンジしてやっていけば、やっぱり35歳ぐらいになった頃に、すごい経験値になりますよね。
田所 そうですよね。僕も、経営者でも大成している人、上場して1000億超えているような、リブセンスの村上太一とか、じげんの平尾丈さんとかって、やっぱり10代で起業しているんですよ。起業して、商人ってそこでビジョンの軸もあったりもするんですけど、当然商売をする中で失敗したりとか経験を積んでという。その経験は大きいのかなと思いますし、その機会がもっと増えるべきかなと思いますけどね。
編集部 皆さんに質問があるのですけど、そもそも起業してやっていける人と、そもそも向いていない人っていうのは、やっぱり性格とか才能とかも含めてあるのかどうか。どう見ても公務員とかサラリーマンが向いている人と、ゼロから1を作れる人っていうのは、分かれるんじゃないかということですけど。その点は、どのようにお考えですか?
斎藤 大きく4つのタイプがあると思っていて、最初からやる気のない不燃型の人。次に、火をつけられれば燃える可燃型の人。多くはこのタイプですよね。三つ目が自分だけ頑張れる自燃型の人。最後が周りに火をつけられる着火型の人。起業家は、やっぱり周りに火をつけてやる気にさせる着火型じゃないといけないんです。この着火型であるかどうかが起業家のポイントかなと思います。
田所 そうかもしれないですね。
斎藤 でも、この着火型になるコツってけっこうシンプルなんですよ。まずは、なぜこれを自分の人生の中でこれをやらなきゃいけないかというmy storyの話をする。二つ目が、そこからour storyっていうんですけど、私とあなた、Iとyouじゃないですか、これを我々weでやらないといけない理由のour storyを話す。最後に、nowっていうんですけど、なんで今やらないといけないかってことを話す。この三つを話せると人に着火できるっていう理論があるんですね。そこを突き詰めて、何度もいろんな人にビジョンとパッションを話していくと、どんどん話もうまくなってくるし、火をつけられるようになっていくんですね。最終的にトレーニングでいろいろ変わるところはあるなと思います。
田所 『起業大全』にも書きましたけど、僕は人材をWhy型、What型、How型、Who型の4タイプで考えています。それで、起業家になる人は圧倒的にWhy型人材かなと思っています。そもそも、根本に違和感を感じたりとか、あるいは「このままじゃダメだ」みたいな、as is(現状)に対してto be(将来像)のギャップをリアルに感じるかどうか? そこのWhyが問える人かなと思うんです。僕は、別に50代とか60代でも、起業家になれると思っていて、例えば自分が介護離職してしまったとします。それはべつに自分の責任じゃなくて、社会の構造でそうなったとしたら、そこを変えたいなと思うかどうか。それは、その人にとって強いWhyになると思うんですね。そこのストーリーがあるとストーリーテラーになれるので、周りの人に着火させることができるようになる。自分の解決したい課題を、自分たちや私たちの課題にしていくみたいなことかなと思うんですね。
徳重 僕は、今おっしゃったように適性とかあるとかないとかもちろんあると思うんですけど、何が日本人の問題かというと、とにかく考えすぎなんですよ。考えすぎて動けない。とにかく、よく僕も言ってるんだけど、若ければやってみたらいいんですよ。で、やってみたら、いろんな悔しい思いをすることもある。でも、その経験から見えることも多いんですよね。やっぱり人間って何だかんだと言っても強いので、リカバリーもできると思っていますし、とにかく、僕も海外をいろいろ周っている中で比較すると、日本人は考えすぎなんですよ。考えるっていうのは、いいこともあるんだけど、ちょっとtoo muchな気がします。これは、本当にもったいないなと思いますね。
編集部 とにかく、考え過ぎずに動いてみるということですね。
田所 では、時間となりましたので、本日は、徳重さん、斎藤さん、どうもありがとうございました。