今やっているドローン事業は、明らかに顧客価値があるところ。
そこは事前に徹底的に、シリアスに考えてやりました(徳重)

年齢は関係なし。起業家として成功できるかを分ける3つのポイント徳重徹(とくしげ・とおる)
テラモーターズ株式会社/テラドローン株式会社 代表取締役社長
1970年山口県出まれ。九州大学工学部卒業。住友海上火災保険株式会社(現・三井住友海上火災保険株式会社)にて商品企画・経営企画などに従事。退社後、米Thunderbird経営大学院にてMBAを取得、シリコンバレーのインキュベーション事業に従事し、事業立ち上げ・企業再生に実績を残す。日本に帰国後2010年4月にテラモーターズ株式会社を設立し、電動バイク事業をアジア市場に展開。さらに2016年3月、新たにドローン事業に携わるテラドローン株式会社を設立した。

田所 ちなみに斎藤さんの使命感は、今何ですか?

斎藤 僕、今36歳なんですけど、2050年に子どもが私と同い年になるんです。やっぱり、そのとき明るい日本にしておきたいっていうのが、今いちばん思っていることです。それで、5年、10年で考えると、いろんな政府とかメディアでも、明るいニュースってほぼないじゃないですか。でも、30年後こうするんだと、そこから逆算すれば、ジェネレーションも文化も全部変わるわけですよ。この30年で日本が変わったように。そこをちゃんと30年後を見据えて、今の20~30代、40代含めて、どうこの30年使うか。ここを、渋沢栄一が150年前にやってきたような感じでやりたいというか。

田所 渋沢栄一さんは、当然やってきたことも知ってるんですけど、そういう30年後みたいなところって、彼は思いがあったんですかね。

斎藤 どうでしょうか。持っていなかったかもしれないですね。要は、日本で彼がやってきたことって、「社会の課題を産業にする」っていうことなんです。

田所 そうですね。銀行をつくったりとか。

斎藤 その当時、銀行ってベンチャーですから、みんな「なんだ、これは?」って反対するわけですよ。でも、彼は銀行っていうのは、葉っぱについた滴を集めて大河にしていくようなものだから、これはやるんだっていって、彼が後見人になってやったわけです。これから日本が良くなるためには、1人当たりの生産性を上げるか、GDPを上げるか、人口を増やすしかないわけです。特に生産性を上げる話なら、もうベンチャーとか大企業がイノベーションを起こすか、あとはインドとかアフリカなどの成長マーケットに日本の大企業がインキュベーターとして支援しにいくっていうくらいしか生きる残る道がないわけです。そこをアジアやアフリカの中でやっていくようにするのが、僕らの使命かなと思っています。

田所 渋沢栄一の「社会の課題を産業にする」ですけど、課題は誰かが保有しているわけですよね。今、日本ですと、例えば介護難民とか、例えばブラック企業で虐げられている人みたいな顧客がいるという。これも、さっきの斎藤さんのお話だと登る場所だと思うんですね。ビジョンというか。それで、意見をうかがいたいのは、やっぱり事業家というのは顧客ありきっていうのはあって、顧客というところをどう捉えるか、みたいなことです。この点については、どう思われますか? 徳重さんの顧客の捉え方って、どんな感じで捉えてます?

徳重 今、新しくドローンの事業をやっていますけれども、お客さんはだいたい電力、オイル&ガス、マイニング(鉱業)、建設、物流などの古い産業です。ドローンを始めた理由は、まだ認知度は低いですし、広まってはいないんですけれども、明らかに、日本のインフラも超高齢化社会になっているんですね。それで、それを修繕するためのお金が全然、足りないんですよ。それを早く、安く、安全にやるっていうのはすごく大事です。今はまだ顕在化していないマーケットかもしれないけど、そこをドローンで、ロボットを活用してできるというのは、明らかに顧客価値があるところです。会社を始める前にすごく、その顧客価値のところは徹底的に、シリアスに考えてやりましたね。